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デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

2019年10月12日

自転車修理

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

意外に思うかもしれません。変速不良を起こす原因の一つにシフトケーブルのほつれがあります。デュアルコントロールレバー(以下、STIレバー)の中でケーブルが1本でも断線すると、撚っているケーブルが次第にほつれてきて、その結果、変速不良を引き起こします。

ケーブルが断線する原因

ケーブルが断線してしまう原因はさまざまです。ブラケットの横からケーブルを通す旧式STIレバーでは、おもに廉価モデルで通勤などの使用頻度が多いケースで発生していたように思いますが、ハンドルルーティング方式になってからは部品のグレードに関係なく増えてきたように思います。

これは仕様変更から起こる必然的なことなのか、断線する場所は、決まってカーブがきつくなる負荷の掛かるところ。ハンドルのショルダーのところで切れる時もありますが、やはり一番多いのはブラケットのユニット内で断線するケースでしょう。

STIレバーの商品に付属されるシフトケーブルは現在は廉価モデルでもオプティスリックのケーブルに変更されていますね。少しでも摩擦抵抗に対し耐久性を持たせるためにこのようにコーティングケーブルに替えたのだと思います。

インナーケーブル断線後の初期対応について

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

変速不良になる前の症状について書いておきましょう。最初は何となくシフトした時に引っ掛かりがあるなあという程度に感じられるくらいだと思います。その時点で早めに交換しておけばトラブルも最小限に抑えられますね。

インナーワイヤーがほつれている状態では、シフトのインデックスに何らかの悪影響が現れ、異音が発生するとかギアチェンジに支障が出るなど、交換すべきサインが出ると思いますから普段から愛車が発しているかもしれない音に耳を傾けてください。

もしも、変速中にグニュッという感覚があったら、すぐに変速はそこでストップ。この感覚はワイヤーが切れる寸前の、自転車が発する最後のシグナル。切れてから持ち込まれる方もいらっしゃいますが、話を聞くと、大体この直後に切っているようです。

ワイヤーが断線するのは最初は1本だけです。いきなり全部切れたりはしません。でも、そのまま放置すると、1本が2本、2本が3本と確実に断線が進みます。そしてほつれたワイヤーがブラケットのユニット内に絡まってしまった時は、かなり面倒な状態にもなり得ます。もちろん完全に切れてしまった場合もほつれた先っちょが絡まっている場合は同様です。STIレバーの動きに支障が生じている場合は直るかどうかわかりません。

トラブルを回避するためにも必要な定期的なワイヤー交換

過去に一度だけ、定期的にワイヤー交換されていたにも関わらず、右レバーのインナーワイヤーが1本切れていたということがありました。きっと使用頻度が高かったんでしょうね。

でも、1本や2本切れている状態でしたら交換はさほど難しくありません。問題となるのは、断線が進み、ほつれたワイヤー同士が変速動作のたびごとに絡まりあってくると、ユニット内に引っ掛かってしまう可能性が高くなることです。それでも引っ掛かっているワイヤーをすべて引っこ抜ければ交換はできると思います。

ブラケットの中で引っ掛かっているワイヤーのために、レバーがスムーズに動かなくなってしまった時はどうなるでしょう。これはかなりやっかいな状態。その場合はケースバイケースで対応することになりますね。正直、引っこ抜く時の抵抗が大きい場合はできれば行いたくない作業です。切れたワイヤーでユニット内部を傷つけてしまって、別のトラブルの要因となっても困るから…。最初からレバーを交換したケースもありました。

やっぱりワイヤーは、無用なトラブルを未然に防ぐためにも定期的に交換しておいたほうが安心ですね。

ブレーキのアウターワイヤーに起因するトラブル

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

ワイヤーのトラブルついでに、シフトではなくブレーキのアウターケーシングに起因するトラブルについて。ブレーキの引きが重くなっている原因のひとつに、アウターの曲がりがあります。

軽く曲がった程度だったら逆に曲げれば戻るので、これでブレーキの引きも軽くなると思います。

でも、コーティングされたビニールの中で、写真のように螺旋状に形作っている金属の隙間が広がってしまってこの隙間が戻らないほど曲がっている場合は、そこで部分的にインナーが摺れるために抵抗となってしまい、その引きの重さは解消されないかもしれません。

一旦広がってしまった場所は使い続けるうちにビニールに亀裂が生じてアウター内が錆びてしまう原因にもなります。

定期的なメンテナンスの中でも必須なワイヤー交換は、1年ごとがいちばんベスト。1年ごとに交換する場合、アウターのほうはインナー交換2回に1回の交換でもよいですが、ただし、ワイヤー交換の時にはアウターも一度外すと思いますから、全体的に曲がりがないかどうかをよく確認してください。

もし部分的に曲がっていたら、先ほどのようにアウター内で抵抗となってしまうのでインナーと一緒に換えたほうがよいですね。

インナーケーブルにグリスを塗る件

余談ですが書いておきます。賛否両論あるでしょう。通常使っているグリスをインナーケーブルに塗布している方もいらっしゃるかと思います。推奨しているケースも見掛けます。ケーブルのサビ付きを防ぐためにはある意味効果的ですね。

実際、店長も変速不良の修理のときに、街乗り用のバイクなど屋外で保管しているバイクにインナーがまったく動かないというケースを時折みかけます。これはほとんどがサビが原因。アウターワイヤーを外してインナーを抜き取ったときにどさっと出てくるサビ、これではインナーは動かない。

そうならないように、万全ではないけれども最初から塗っておくグリスは確かにサビ対策には効果があります。しかし、スポーツ的にバイクを所有している方にはおすすめしません(シマノのケーブル専用SIS-SP41用グリスは除く)。通常のグリスは空気に触れて劣化が進むと引きが重くなってしまうから。いくら高価なパーツを使っていてもこれでは意味がありません。

インナーケーブルの引きを軽くしたいなら、シリコン系のケーブル専用グリスを使うか、持ってなければ潤滑剤のほうがよいですね。潤滑剤もべとつかないシリコン系がお薦めです。アウター内に直接ノズルで注入させましょう。もちろん、潤滑剤をお使いの際はブレーキにはあたらないよう十分ご注意ください。

今回は自転車のメンテナンスにも関係するワイヤーにまつわる内容をご紹介しました。ワイヤーの整備不良は事故にもつながりかねません。いつもしっかり整備しておきたいですね。ご自分でメンテナンスする時のご参考にしてみてください。

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