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デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

2024年03月18日

自転車修理

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

意外に思うかもしれません。変速不良を起こす原因の一つにシフトケーブルのほつれがあります。デュアルコントロールレバー(以下、STIレバー)の中でケーブルが1本でも断線すると、撚っているケーブルが次第にほつれてきて、その結果、変速不良を引き起こします。

ケーブルが断線する原因

ケーブルが断線してしまう原因はさまざまです。ブラケットの横にアウター受けがある旧式STIレバーでは、おもに廉価モデルの装着バイクで通勤など使用頻度が多いケースで発生していたように思いますが、ハンドルルーティング方式になってからは、部品のグレードに関係なく増えてきたように感じます。

これは仕様変更から生じる必然的なことなのか、断線する場所は、決まってカーブがきつくなる負荷の掛かるところ。ハンドルのショルダーのところで切れる時もありますが、やはり一番多いのはブラケットのユニット内で断線するケースでしょう。

STIレバーの商品に付属されるシフトケーブルは、現在は、廉価モデルでもオプティスリックのケーブルに変更されていますね。少しでも摩擦抵抗に対し耐久性を持たせるために、このようにコーティングケーブルに替えたのだと思います。

シフトケーブル断線後の初期対応について

インナーケーブルの断線によって変速不良を起こす前は、ほとんどが最初は何となくシフトした時に引っ掛かりがあるなあという程度の、そのくらいの軽い症状です。その時点で早めに交換しておけば、トラブルも最小限に抑えられます。

インナーワイヤーが断線してほつれている状態では、シフトのインデックスに悪影響が現れ、その場合、異音が発生するとか、ギアチェンジに支障が出るなど、何らかの交換すべきサインが出ているケースが多いかと思います。普段から愛車が発しているかもしれない音に耳を傾けてください。

もしも、変速中にグニュッという感覚があったら、変速はすぐにそこでストップ。この感覚はワイヤーが切れる寸前の、自転車が発する最後のシグナル。切れてから持ち込まれる方が大半ですが、話を聞くと、大体この直後に切っているようです。

ワイヤーが断線するのは最初は1本だけです。いきなり全部切れたりはしません。でも、そのまま放置すると、1本が2本、2本が3本と確実に断線が進みます。

そして、ほつれたインナーがブラケットのユニット内に絡まってしまった時は、かなり面倒なケースになる場合も。特に5700系など旧式10sレバーのようにブラケットの下側にケーブルの挿入口があるコンポはさらに作業時間が掛かります。

ほつれた箇所がユニットの中で引っ掛かっていたり、インナーが完全に切れてしまいユニット内部に残っている場合は直るかどうかわかりません。STIレバーの動きに支障が出ていたら、ケーブル交換は難しい場合もあり得ますね。

トラブルを回避するためにも必要な定期的なワイヤー交換

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

過去に一度だけ、定期的にワイヤー交換されていたにも関わらず、右レバーのインナーワイヤーが1本切れていたということがありました。きっと使用頻度が高かったんでしょうね。

でも、1本や2本切れている状態でしたら交換はさほど難しくありません。問題となるのは、断線が進み、ほつれたワイヤー同士が変速動作のたびごとに絡まりあってくると、ユニット内に引っ掛かってしまう可能性が高くなることです。それでも引っ掛かっているワイヤーをすべて引っこ抜ければ交換はできると思います。

ブラケットの中で引っ掛かっているワイヤーのために、レバーがスムーズに動かなくなってしまった時はどうなるでしょう。これはかなりやっかいな状態。その場合はケースバイケースで対応することになりますね。

正直、引っこ抜く時の抵抗が大きい場合はできれば行いたくない作業です。切れたワイヤーでユニット内部を傷つけてしまって、別のトラブルの要因となっても困るから。状況を判断して最初からレバーを交換したケースもありました。

やっぱりワイヤーは、無用なトラブルを未然に防ぐためにも定期的に交換しておいたほうが安心ですね。

ブレーキのアウターワイヤーに起因するトラブル

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

ワイヤーのトラブルついでに、シフトではなく、ブレーキのほうのアウターケーシングに起因するトラブルについても書いておきましょう。ブレーキの引きが重くなっている原因のひとつに、アウターの曲がりがあります。

軽く曲がった程度だったら逆に曲げれば戻るので、これでブレーキの引きも軽くなると思います。

でも、コーティングされたビニール被膜の中で、写真のように螺旋状に形作っている金属の隙間が広がってしまってこの隙間が戻らないほど曲がっている場合はどうでしょう。そこで部分的にインナーが摺れるために抵抗となってしまい、その引きの重さは解消されないかもしれません。

一旦広がってしまった場所は使い続けるうちにビニールの被膜に亀裂が生じてアウター内が錆びてしまう原因にもなり得ます。

ちなみに、初期伸びを取るために一般車で見掛けることのある作業はやめたほうが無難です。アウターを両手を少し離して持って持っている両端を扱く作業ですが、これは螺旋の金属がいびつになってもっとひどい状況になる可能性が高いから。初期伸び取りは仮止めの状態でレバーを数回握って馴染み出しをするだけで十分です。

定期的なメンテナンスの中でも必須なワイヤー交換、これは1年ごとに行うのが望ましいですが、1年ごとに交換する場合、アウターのほうはインナー交換2回に1回の割合でもよいですね。ただし、ワイヤー交換の時にはアウターも一度外すと思いますから、全体的に曲がりがないかどうかをよく確認してください。

もし部分的に曲がっていたら、先ほどのようにアウター内で抵抗となってしまうので、インナーと一緒に換えたほうがベストです。

インナーケーブルにグリスを塗る件

デュアルコントロールレバーのユニット内で起こる変速不良の原因

余談ですが書いておきます。賛否両論あるでしょう。ボールベアリングなど回転系に使う粘度の高いグリスをインナーケーブルに塗布している方もいらっしゃるかと思います。Webで推奨しているケースも見掛けます。ケーブルのサビ付きを防ぐためにはある意味効果的ではありますが・・・。

実際、店長も変速不良の修理の際に、屋外で保管しているバイクでインナーがまったく動かない時はほとんどがサビが原因です。アウターワイヤーを外してインナーを抜き取った時にどさっと出てくるサビ、これではインナーは動かない。

そうならないように、万全ではないけれども最初から塗っておくグリスは確かにサビ対策には効果があります。しかし、スポーツ的にバイクを所有している方にはおすすめしません。通常のグリスは空気に触れて劣化が進むと引きが重くなってしまうから。いくら高価なパーツを使っていてもこれでは意味がありません。

インナーケーブルの引きを軽くしたいなら、シマノのケーブル専用グリスなどシリコン系のグリスを使うか、持ってなければ潤滑剤のほうがよいですね。潤滑剤もべとつかないシリコン系がお薦めです。アウター内に直接ノズルで注入させましょう。もちろん、潤滑剤をお使いの際はブレーキにはあたらないよう十分ご注意ください。

なお、グリスを使う場合はコーティングワイヤーには不可ですが、アウターを通した時に付くグリスや、スチールインナーに使う潤滑剤もインナーケーブルの固定部には付着しないようしっかり拭き取ってください。付着したままだと固定力不足の原因に。

今回は自転車のメンテナンスにも関係するワイヤーにまつわる内容をご紹介しました。ワイヤーの整備不良は事故にもつながりかねません。いつもしっかり整備しておきたいですね。ご自分でメンテナンスする時のご参考にしてみてください。

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