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ロードバイクの致命的アクシデント

2018年10月04日

自転車修理

ロードバイクの致命的アクシデント

衝撃的なトラブル発生。今回のトラブルは、ロードバイクに携わって20年間仕事をしてきた中でギアチェンジが原因で廃車になった初めてのケース。ハンガーは吹っ飛び、チェーンは歪み、リアディレイラーは完全に壊れています。

ディレイラーハンガーが折れる原因

ロードバイクの致命的アクシデント

今回は特殊なケースですが、その前にディレイラーハンガーがなぜ折れてしまうのか、そのトラブルの原因となるケースをいくつか探っていきましょう。中には不可抗力で避けられないこともありますが、未然に防ぐためにもご一読ください。

まず、真っ先に思いつくのは高速走行中の落車。何らかの要因で落車し右側から地面に叩き付けられた場合、通常はハンドルやペダルが先に地面に接触するからハンガーは曲がっても折損するのはまれです。それにライダーが骨折などの怪我を回避しようときれいな転び方だとライダーがクッション代わりになってくれるから(ただし体は擦過傷だらけ)ハンガーはなんともないケースも多いです。

でも、転び方が下手だと、落車に慣れていないからハンドルから手が離れてしまい、バイクから投げ出されてバイクが単体になった場合にディレイラーが直撃を受けると折れてしまいます。

次に絶対にやってはいけない変速操作の仕方で折ってしまったケース。店長はバイクを納車する時は変速の仕方を必ず説明します。使わないほうがよいギアの組み合わせと、走行中のやってはいけない変速について。フロントがアウターでリアがローギア(アウターロー)の位置は使わないようがよいです。絶対に使っては駄目ということではないけれども、例えば、体力が付いてきて上り坂もすべてアウターで上りきれる時は使ったりします。(上り以外で常時使うのは×)

で、もしアウターローよりもっと軽いギアが必要な場合はフロントをインナーに落とさなければいけませんね。この時にいきなりインナーに入れるとチェーンが外れる危険性が高いです。急激にチェーンラインが変わるからですが、この変速の仕方は避けたほうがよいですね。

ちなみに、フロントがアウターの時にインナーに変速するには、まずリア側を3枚落として(シフトアップ)、リアの変速完了とともにフロントをインナーに落とします。必ずリア→フロントの順です。同時も駄目だし、その反対の変速はフロントがダブルギアのロードバイクではご法度。

この変速方法については説明すると長くなるので、いつか機会があれば記事にしようと思います。知らなかった方は、ロードバイクを快適に乗るためにも、まず最初にリアを3枚落とすことをぜひ意識してください。なぜ3枚なのかはいつかの記事で。

絶対にやってはいけない変速操作

話を戻します。先ほどのように内側にチェーンが外れるのはご法度の変速をしているか、ローギアの手前でも外れてしまう場合は調整に不備があるからですが、仮にもし内側に落ちてしまっても、レバー操作でフロントディレイラーのプレートを動かしてチェーンがインナーに引っ掛かってくれれば、降りて直さなくても乗車しながら元に戻せます。

ここで、ようやく先ほどの「絶対にやってはいけない変速操作の仕方」が出てくるのですが、フロントがインナーの時に負荷が軽くなってきたらリアをシフトアップ(小さいギアに)していきますよね。本来使わないほうがよい組み合わせのフロントがインナーでリアがトップギアの時に、この状態でフロントをいきなりアウターに入れると今度は外側にチェーンが外れたりします。インナー側と同じくチェーンラインの関係です。特に調整に不備があって可動域の設定幅を超えている場合はほぼ外れます。

この操作もやってはいけない変速方法ですが、さらに絶対にやってはいけない変速操作はインナー側と同じようにレバー操作で復帰させようとする行為。

デュアルコントロールレバーをカチッと動かしたときにプレートがアウターからインナーへ動くのはバネの力で可動するため、ギアクランクの外側に外れたチェーンは物理的にレバー操作をコントロールできないので元には戻せません。FDの構造を知らないまま操作した結果、チェーンがギアに絡まってガキッと止まってしまい、ギアがスムーズに回らないからディレーラーごと持っていかれてハンガーを折ってしまったという事例があるのです。

今後こういうトラブルを起こさないために

今回のトラブルに関しては、お客様から話を聞く限りではアクシデントが起こった時のギアの位置だとなぜこのようになったのかわかりません。

最初は、おそらくローギアに変速した時にディレーラーのケージがスポークに引っ掛かったのだろうと、以前廉価車のクロスバイクで同じようなケースがあったので、そのように想定して話を聞いていたのだけれども、使っていたのは真ん中あたりのギアだという。どうも違うようだ。

そうなると、考えられるのは、仮説ですがプーリーが原因していたのかも。この割れたテンション側のプーリーをみてそう思いました。

走行中は高校生だから歩道を走っていたのかもしれません。段差とか、何らかの要因でバイクがバウンドした時にプーリーからチェーンが外れてしまい、ケージに絡まったチェーンがディレーラーをもぎ取ってしまい、シートスティにヒットしてしまったのかもしれません。(そんなこと聞いたことないですが・・)

すべては推測。

不思議なのは仮にそうだとしても、ローギアの歯先の位置で数箇所スポークにキズがついているのはなぜだろう?

キズだけではなく軽く歪んでいるスポークもある。歪むほどの強い力が加わったということだ。これはチェーンがここに引っかかったためだと思うけど、さっきの推測だとローギアを飛び越えてチェーンが落ちることはないと思うので、これもなぜなのかは謎。今回はすべてが謎のバイクトラブルでした。

もしこういうケースを経験した方がいらっしゃれば教えてください。バイクに知見のある方なら、使用ギアとか、シチュエーションなどその時の状況も判断できているのではないかと思いますので、もしいらっしゃればよろしくお願いいたします。

楽しくバイクに乗っていくためにも、できればこういう事故は減らしていきたいですね。

ガイドプーリーからチェーンが外れる原因

その後、仮説を実証できるような有力情報を得ることができました。

先日、シマノの方とお話している時に、今回のトラブルについて他に同じような事例がないか聞いてみました。メーカーにはいろいろなトラブル情報が舞い込んでくるみたいですね。

そのなかの一つに、ガイドプーリーからチェーンが外れてディレイラーが壊れたトラブルとしてチェーンに異物が挟まって外れてしまったというものがありました。やっぱり外れることもあるんですね。

話の内容からおそらくMTBとかシクロクロスなど舗装路以外で起こったトラブルだと思います。

もちろんめったに起きないアクシデントでしょうが、チェーンに木の枝とか挟まってプーリーにしっかり嵌っていない状態で変速すると、チェーンがプーリーから外れてしまうのは容易に想像できます。テンションプーリーからガイドプーリーにチェーンが送られる時に、異物でチェーンが浮いた状態でガイドプーリーが動くので、チェーンが取り残された状態になり外れてしまうんですね。

また、ガイドプーリーには最初からガタがありますが、特にエントリーモデルに装着の8速とか9速リアディレイラーの場合は上位モデルに比べてガタが大きいので(9速TIAGRAで実測1mm弱ありました)、廉価帯のバイクほど気を付けなければなりません。

もちろんチェーンの伸び具合も関係してくると思いますから、トラブル防止のためにもチェーンは定期的に交換して使用したいものです。交換の目安は5,000kmくらいかな。

このくらいだとチェーンチェッカーでの伸び率はおおよそ0.75%。距離数は使用環境にもよりますので、交換のタイミングは伸び率で判断し定期的に専用ツールでチェックしておくとよいですね。伸びたチェーンを使い続けるとギア板の磨耗にもつながり変速不良など別のトラブルを引き起こします。ご注意ください。

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