バイクメンテナンス
春先に多発するバイクトラブルの中で一番多いパンクの意外な原因
いよいよ春到来という感じで、連日バイクの洗車に明け暮れている店長です。最近は店舗の開店前に一日2台のペースで続いています。昨日は一旦途切れて今日また1台お預かりしました。
春先の洗車はクロスバイクの方が多いですね。通勤などに使用している場合は油がギトギトなケースもあって、そういうバイクはかなりハードな汚れ方。でも、強力クリーナーで見違えるようにきれいになったバイクをみると、やってよかったと感動します。店長は仕事の中で洗車が一番好きかもしれないw
洗車中に修理が必要な箇所を発見することもありますが、洗車はトラブルを事前に回避できるという二次的なメリットもあったりします。バイクを洗う時に間近で見ているからわかりやすいんですね。
これまで多かったのはタイヤの偏摩耗とか亀裂の発見。異物が刺さっているケースもあります。以前も、洗車掃除でパンクを回避したケースがありました。
スローパンクの原因
春先は店舗にお持込みになられる修理で一番多いのもパンクです。除雪車が雪と一緒に運んできた異物が路肩に溜まり、ちょうどそのレーンを自転車が走るからどうしてもこの時期はパンクが多いですね。
どんな自転車でも異物が刺さればパンクします。重たいノーパンクタイヤ以外はパンクが自転車に乗るうえでの難題でしょう。快適に乗るために最適なエアチューブにとって、唯一ともいえる欠点。
そんな難題のパンク対策も空気圧によってだいぶ軽減されます。とりわけロードバイクは圧倒的に少ないです。
少ないですが、皆無ではありません。何かが刺さればパンクします。季節的に今回もそうかとチューブを取り出し調べてみたら、今回は別に原因がありました。
パンクの原因はわかっても、なぜその原因が起こったのかはわからず仕舞い
ややこしいタイトルですが、まず、写真をみると、プクプクッと水泡が出ていますね。おそらくほとんどの方がこの写真をみたら、水泡が発生している場所からみて交換タイプのバルブコアが緩みそこから空気が抜けたのだろうと、そう思ったのではないでしょうか。
そう、店長も同じです。じっくりバルブの先端を確認するまでは・・・。これが交換できるタイプのバルブコア。プランジャーとも呼ばれています。
実際、これまで何度か、このプランジャーの緩みが原因で空気が抜けていたケースもありました。でも、このバルブは一体式でコアが着脱できるタイプではありません。
もちろん先端のコアねじはしっかり締まっており、エアが漏れている場所はさらにその下側、バルブステムと呼ばれているところ。外観上は亀裂は見当たりません。こんなケースは店長も始めて。
亀裂でもないのにどうして金属のバルブから空気が抜けるのか、う~ん、タイトルどおりその原因はわからず仕舞い。とりあえずチューブを換えるしか方法がないのでチューブ交換で作業を終えました。
仏式バルブを使用する場合に注意したいこと
ここからはロードバイクに乗り初めてまだ日が浅い方に役立てて頂きたい記事です。よろしければメンテナンスの参考にしてみてください。
自転車で使用するチューブのバルブには3種類あって、高圧のロードバイクで使われるのはさっきと同じ仏式バルブ。これはロードバイクに乗られている方なら誰でも知っていると思われます。フレンチバルブともいいますね。
でも、フレンチバルブにも2つの形式があることをご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
フレンチバルブには、コアねじが(以下、正確にはプランジャーの部分だけど言いやすいからこう呼びます)一体式と着脱式があって、着脱式の場合は走行中に振動で緩んでしまい、緩んだ結果エアが漏れて、先ほどのようにパンクだと誤解してお持ちになる方もいらっしゃいます。
新品チューブでも締め方が足りない商品もありますからご注意ください。店長は着脱式の新品チューブを使う時は緩んでいないか確認してから使用します。
着脱式コアねじのチューブを使うとき
もし、スローパンクで少しづつ空気が抜けていく時は、まずコアねじが緩んでいないかどうかを確認してみましょう。緩んでいるようだったら増し締めして様子をみてください。コアねじを閉める時はこういうツールが必要です。
自分のバイクに装着されているチューブのコアねじが、一体式か着脱式かわからない時はプランジャーの形式で判断します。バルブの先っちょを見てください。コア軸の小さいネジを締めていくと接するネジ山の部分ですね。写真の左側のように、ここの側面がカットされていれば着脱式、さっきのツールで外せるようになっています。カットされていなければ一体式です。
ちなみに写真のコア軸は少し曲がっていますね。空気を入れるときに、ポンプのバルブヘッドを差し込んだあとにヘッドが動いたりするとこういうふうに曲がってしまいます。フロアーポンプだとほとんど曲がることはないと思いますが、出先で携帯ポンプを使うときは十分ご注意ください。
では携帯式ではなぜ曲がってしまうのか。それは手の動きにあります。ポンピングの際に、バルブのヘッドを持っている手が動いたりすると、コア軸が曲がったりするんです。ポンピングの時は動かすのはハンドルを握っているほうだけで、もう一方の手はポンプのヘッドをがっちり握って固定しながらエアを入れてください。
まれにですが、ヘッドを保持している手がぐらついたりすると、バルブステムの途中からポッキリ折ってしまう方もいらしゃるのでさらにご注意ください。
で、もしコア軸が曲がってしまったら、右側の写真のように締めても曲がった状態のままだとエアが漏れたりする場合もあるので真っすぐにしておくのが理想的。
ただ、曲げ戻したあとにポッキリ折れたりするケースもありますから、エアが漏れていない場合はそのままでもかまいません。もしもエア漏れする場合は、折れないように祈りながら、慎重に真っすぐに戻してください。
なぜ着脱式のバルブコアがあるのか?
バルブはそもそも途中から外せなければ、ここが緩んでエアが漏れてしまうという心配もありません。仏式チューブを作った当初は、もしかしたら一体式だけでこんなトラブルもなかったのかもしれません。(勝手な推測)
ではなぜ、わざわざバルブコアを交換できるようにしたのでしょうか。それはホイールの進化とともに、空力を追求するディープリムが台頭してきて、必然的にバルブ長の長いチューブが必要になってきたから、と思われます。
最初からそのホイールに対応できる長いバルブ長のチューブを用意すれば事足りるわけですが、でも、例えば普段履いているホイールは練習用で24mmとかハイトが短く、決戦用に平地では80mm、クライムなどオールラウンドに35mmとか何種類かのホイールを使い分ける場合は、一体式だと装着するチューブの他にもスペアチューブをそれぞれ用意しなければなりません。装着チューブしかなければ、パンクしたらそれで終わりですからね。
80mmハイトのホイールなんて、レースでしか使わないでしょう。年に数回のホイールに専用チューブを用意するよりは、延長バルブでプランジャーだけ交換すれば、チューブを効率よく使うことができます。
決戦ホイールのチューブを数年使って練習用に回す場合も、48mmくらいの交換できるタイプのチューブを使えば重宝するわけです。
そういうわけで、着脱式バルブコアのチューブにもそれなりの利点はあるわけですね。使用しているチューブが着脱式の場合は、出先で圧が下がったら面倒なので、定期的に緩んでいないかチェックしてみてください。
ところで、プランジャーの交換ができないチューブには、プランジャーなしの延長バルブで対応することもできます。ただし、ハイトが高いリムは継いでいる箇所がリムの中に入ってしまう場合はエア漏れが生じてしまうこともあるから気をつけなければなりません。そういう場合も、トピークの商品のように延長バルブからコアねじを締められるタイプは一応安心です。
一応というのは、見えないところを手探りで操作するからコアねじが完全に締まっているかどうかは確認ができないから。やっぱりプランジャー付きの延長バルブが一番安心ですね。
どちらにしても、延長バルブを利用する場合は、水道などに使うシールテープを巻いてつなぐことをおすすめします。エア漏れ防止と緩み止めのために。家財道具になど用途が広いので、一つ揃えておくと便利ですね。
今回はほかにもイレギュラーなトラブルの修理がまだ何点かあったのですが、とりあえず今日は時間がなくなったからこの辺で。そのうちまたご紹介したいと思います。
今日は週末の土曜日、終日修理に追われて今日中にやっておきたかったお預かりのロードバイクが明日に持ち越しとなりました。(遅くなっていてすみません)
明日は日曜日ですが4月は第四週まで日曜日も営業します。今月も気合い入れてがんばります!