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ロードバイクに発生していたシフト不良の原因とは

2021年10月31日

自転車修理

ロードバイクに発生していたシフト不良の原因とは

先週、立て続けに起きていたロードバイクの変速トラブル、いずれもシフトが正常に作動せず、1台はインデックスの動作不良で原因はインナーケーブルのほつれ。もう1台はアウターケーシングが原因していたトラブルでした。

インナーケーブルが断線して絡まっていたデュアルコントロールレバー

ロードバイクに発生していたシフト不良の原因とは

点検整備でお持ちになったバイクの整備中、リアディレイラーの動きが渋く、正常に変速しないのでとりあえずはアジャスターで調整してみるもまったく直る気配なし。これはきっとケーブルが断線してほつれているなと踏んでブラケットカバーをめくってみると、やっぱり、けっこうな本数が切れていた。

こういうケースでは、切れた先端が折れている状況からブラケットユニット(以下、ユニット)の中に引っ掛かってしまうこともあるんですが、ひと月ほど前に作業したクラリスでも同じようなことがありました。その時は巻き取りレバーが解除されなくなっていて、タイコ部分がユニットの中に埋まって外からは見えない状況。ユニットのラチェットが一切機能せず修理不能。

ブラケット裏側にユニットカバーが付いているモデルは、カバーを外して取り除くことができれば解決しますが、ユニットの中にタイコがもぐり込んでいる場合、そのレバーは交換となります。

今回のレバーはカバーなしですがタイコを取り除くことはできましたので、同じような状況に遭遇した時のために参考となるよう、作業の仕方を説明しながら話を進めてまいりましょう。

まずは、この状態ではレバーからケーブルを引き抜くことができないため、途中でカットして1本1本ほぐしていきます。そんなことをせずに、ケーブルの頭を切って、タイコを取り除いた状態で、タイコの反対側から引き抜けば簡単じゃないかという声も聞こえてきそうですね。こういう状況ではたぶん難しい。詳細は後述します。今回は地道に1本づつほぐします。

バイクをひっくり返して作業する

ロードバイクに発生していたシフト不良の原因とは

絡まったケーブルをほぐし終わったらバイクをひっくり返す。今回のバイクは5700系の10sコンポ、5700レバーはブラケット裏側にケーブル挿入口があるため、こうしないと大変に作業しづらいのです。通常のケーブル交換ではレバーを外せばひっくり返す必要もないわけですが、今回は絡まったケーブルをまず取り除かなければならないので、ハンドルに固定しておいたほうが作業がしやすい。

さて、ケーブル挿入口からはタイコの頭が見えているので、通常は押し出すだけでタイコが出てきます。でも、ケーブルの切れた箇所が何かに当たっていてまったく動く気配がない。

なので、ラジオペンチで押しながら(一人なので、この作業は撮れないけど)、巻き取りレバーと解除レバーを交互に動かしながら少しづつタイコを出していく。タイコが見えている場合は、修理不能だったクラリスと違い、ラチェットは機能するので大丈夫。

タイコがラジオペンチで掴めるくらい出てきたら、もう一つラジオペンチを用意して、押し出しながら引っ張っていく。タイコが出てきても、引っ張るだけではラジオペンチがタイコから滑って外れたらまたユニットの中に戻ってしまうので。ラジオペンチは保持する力が弱いからこの場合は押し出すほうが大事。

タイコがなかなか出てこなかったのは、根元で切れていた箇所が折れ曲がって抵抗になっていたもよう。

先ほど、ケーブルを1本づつほぐしている時に、そんな面倒なことはせずに「タイコ部分をカットして反対から引き抜けばよい」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。それは切れたワイヤーが真っすぐな状態での話。

ケーブルが切れてしまって、切れたケーブルがスムーズに動かない場合は常にタイコ側から抜いたほうがよいです。反対側から抜こうとすると、もし今回と同じ状況だったら、上の写真を見てもわかるように、切れた形状からユニット内に引っ掛かって抜けなくなる可能性があります。そうなると、ケーブルの取り出しができなくなるためレバーは使用不能になる可能性大。

ユニット内に引っ掛かっても、力づくで引き抜けばいいのではと思われるかもしれません。それもやめたほうが無難。絡まったケーブルを無理やり引っ張ってしまうと、内部を傷付けて変速に支障が出てしまう可能性もあるからです。

そして、もしも、さっきの頭だけ出ている状態でそこをカットしていたら、横にビヨーンと折れている数センチの鋼線がケーブルから分離して、頭だけ出ている状況では鋼線が折れていることはわからず、もちろん分離したこともわからないため、その部分がユニットの中に絡まってしまうはず。

それは経験ないので断言できないけどそうなったら恐らく使えなくなると思います。シマノからもユニットは分解しないようアナウンスされているので、絡まって使えなければ交換になります。

タイコ側のケーブル先端が出てきたら、反対側のほぐして鋼線がバラバラになっているところをカットして引き抜き、ようやく折損ケーブルをすべて取り除いて作業は完了。反対側をどうして最初にもっと短くカットしておかないかというと、ケーブルがあまり短いと作業がやりにくい場合があるから。

ケーブル交換は、こういうことにならないよう定期交換がおすすめです。特にシフトケーブルのほうは自分で考えているより早め早めのほうがよいです。

交換時期は、乗る頻度や走行距離にもよるけど2年に1回は交換しましょう。毎日ハードなトレーニングをされている方や、通勤で使われている方は1年に1回は換えたほうがよいと思います。雨でも走られる方は、消耗が早いのでもっと短い頻度で換えてもいいかも。

もうひとつの変速不良の原因

ロードバイクに発生していたシフト不良の原因とは

こちらのバイクも変速がもたついて、正常に動作しない状態でした。だいぶ年数が経っていたからもしやと思ってアウターケーシングを外したところ、ああ、やっぱり、アウターから鋼線が突き出ていた。

リアディレイラーの固定ボルトを緩めてインナーを挟んでレバーを操作したら、ずいぶん重いので一旦アウターをストッパーから外してみたらこういう状態。変速不良の原因はこれです。アウターから突き出た鋼線が抵抗になっていたんですね。

今回はフレーム側でしたが、レバー側でも見掛けます。インナーを引き抜いて鋼線が何本突き出ているか確認すると4本も出ている。今回はアウターキャップがスチール製だから、キャップの穴のほうにずれていってそこから出てきたんですね。さすがに4本も出ていると引きが相当重いです。

シフトのアウターキャップは樹脂製も多く、樹脂を突き破って出ているケースも見掛けます。樹脂の場合は穴を塞ぐことはないから引きはそれほど重くはならないけれども、これも変速不良の原因となるので気を付けたいですね。

アウターケーシングももちろん定期的に交換が必要です。インナーと同時交換が望ましいですが、アウターの交換頻度はインナーを1年に1回換えている場合はアウターは2回に1回くらいでもいいかな。

ただし、屋外に置いているなど保管状況によっては日頃からよく点検して頂いて、もし亀裂が入っている場合は早めに交換したほうがよいですね。年数が経つとアウターのコーティングが縮んきます。どんどん縮んでコーティングの弾力性が弱くなると今回のようなケースになりやすいし、アウターキャップの中で固定が緩くなって鋼線がバラバラになったりもします。異音の原因にも。こんな感じのバキバキ音が。ご注意ください。

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