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ハブのガタツキがもたらす弊害をグリスアップで事前に防ぐ

2018年06月18日

自転車修理

ハブのガタツキがもたらす弊害をグリスアップで事前に防ぐ

お客様からお預りしていたグリスアップのホイール。ベアリングの玉当たり調整を終えて、回転具合を確認しようとシャフトを持ってホイールを回した瞬間、ん? なんだろう、この当たりは?

ゴリゴリとも違う変な感覚。ベアリングのカップとコーンともにボールレースには虫食いの跡はなかったから変だなと思いながら、フランジを見ていてわかりました。玉押しのキャップが圧入される部分にキズが入っていますね。これが原因でした。

一旦玉押しを緩めて研磨後に調整し直し、再びキャップを圧入して確認したら、気になる当たりはなくなりました。

ベアリング方式の違いによるメリットとデメリット

今回のような現象はめずらしいケースですが、ホイールを扱っていると、実に様々なトラブルに遭遇します。一番多いのはハブのガタツキ。

価格帯にもよりますが、完成車の廉価版ホイールは、メンテナンスせずに使い続けているとガタツキが出るケースが多いです。ガタツキのある状態を長期間放置しておくとボールレースが虫食いで回転がゴリゴリ状態となるケースも多く、一度発生したゴリゴリ感は部品を交換しない限り直りません。

シマノのホイールは、カップ&コーンと呼ばれるアジャスタブルタイプのベアリング方式を採用していますが、上級モデルはあまりガタも発生しません。仮にガタが出てもベアリング調整で長く使い続けることができるのがメリット。上級モデルでのゴリゴリ感はあまり経験ありません。デメリットは調整に時間が掛かること。

一方、通称メンテナンスフリーと言われる工業型のシールド式ベアリングを採用したホイールは、ガタが出ても比較的調整が簡単なのがメリット。

ただ、シールドタイプはベアリング調整をしなくともよいからメンテナンスフリーなのでしょうが、ベアリング自体に消耗や破損等のトラブルが起きた場合は調整ができないので使い捨てとなります。これはデメリット。先ほどの簡単調整は、ベアリングの玉当たり調整ではなくベアリングを固定しておくハブの調整です。

ベアリングの構造による耐久性の問題

ハブのガタツキがもたらす弊害をグリスアップで事前に防ぐ

シールドベアリングは、ベアリングが固定されているためベアリングに対し横方向に応力が発生するのに対して、アジャスタブルタイプは鋼球は丸いのでボールレース内で回転することにより斜めに応力が発生するため、シマノはこちらのほうが耐久性が高いと今も昔もこの方式を採用しています。実際、店長も、シールドベアリングのキシリウムSLで異音の経験があって、走行距離10,000kmくらいで発生しました。

あの音はけっこうひどかった。40キロを超えると後輪がキキーっと鳴き出し、そのままのスピードではとても乗っていられない状態。音鳴りを止めるためには減速するしかなく、やむなく他のホイールに換えました。

レース参加は年数回だったからトレーニング兼用で使っていて、走行距離は年間5,000kmくらい。店長の場合はそのホイールのベアリング対応年数は2年ということになります。

ホイールはメンテナンス性も大事ですが、どのくらい使えるか対応年数のほうがもっと気になりますね。1本のホイールですべての走りをまかなうのだったら、少しグレードの高いアジャスタブルタイプのホイールがお薦めです。

ハブシャフトの折損

ハブのガタツキがもたらす弊害をグリスアップで事前に防ぐ

車輪がおかしいから見てほしいとお客様。ん~、これは確かにまともには走れない。一般車の修理ですが、まれにハブシャフトを折ってしまうケースを見かけます。

これも原因はハブのガタツキ。気付いた時に早めに調整しておけば避けることのできるトラブルなのですが、一般車ではそのまま放置されるケースが多く対策は難しい。

回転する部分にはすべての部品に軸となるシャフトが装着されていますよね。そのなかで唯一と思われる折損のトラブルを抱えているのがハブのシャフト。車輪がガタガタを通り越してグラグラとなった時に、スポークに異常がなければその原因はほぼ100%ハブシャフトの折損です。

もしも通勤通学などで使用していて同様のケースに遭われた場合、抜いてみなければ折損は確認できませんが、ハブの固定ナットを緩めてからシャフト先端を両側でつかんで動かしてみればわかるでしょう。

グリス切れのハブシャフト

あ、そういえば、1件だけ折損ではないグラグラがありました。原因は鋼球の割れ。カップのなかで割れた鋼球がすでになくなっていて、鋼球の数が少ないから当然車輪はグラグラ。ほんとにめずらしいケースでした。写真のようにグリスが切れてサビサビの状態になると、どんどんガタツキが進行します。で、最悪、割れてしまいます。一気に割れるのではなく、最初は表面が欠けていくようですね。

定期的なメンテナンスは一般車でも必要ですね。一般車も大手メーカーは高級化路線にシフトしており中には安いロードバイクが買えるくらいの自転車もありますが、そういう価格帯の自転車は特に、価格相応の状態に満足しながら長く乗り続けるためにはメンテナンスが必須だと言えます。

ハブシャフトの交換

ハブのガタツキがもたらす弊害をグリスアップで事前に防ぐ

さて、一般車のハブシャフト交換はそれほど難しくないのでご説明しておきます。もしもご自分で作業される方がいらっしゃったらご参考にしてください。

ただし、変速付きの自転車はボスフリーを抜く工具が必要です。カセットギアのロックリング外しが共用できます。でも、たぶん普通に作業しても固くて外せないので、アルミの角材とか長いパイプも必要です。モンキーレンチをこれにかませて力を加えればおそらく大丈夫。店長は昔、一般車のボスフリーを抜くのをあきらめていた時にこれを試したら難なく成功し、それからはアルミの延長パイプですべて外しています。

まず、フリーを外したら、ブレーキ側のロックナットを緩めて、ギア側からコーンを付けた状態でシャフトを抜き取ります。折損している場合は、ブレーキ側はブレーキを外したらボロッと抜けます。抜いたら必ず先端からロックナットまでの寸法を調べておきましょう。完成車では左右の出代はほぼ均等のはずです。シャフト交換後にもしも左右で出代が大きく異なる場合はあとあと問題になるので、寸法はきっちりチェックします。もちろんシャフト自体の長さも、変速付きとなしでは違うので間違わないように。

ハブのグリス充填

玉当たり調整は、ブレーキ側のほうがしやすいので、最初にギア側のコーンとロックナットを、シャフトの出代を調整後に締めてからハブに挿入します。変速なしの一般車はガタが出た場合でも車輪を外さなくとも比較的簡単に調整できますが、変速付きの場合はボスフリーを脱着しないと一切調整できないため、ここでコーンとロックナットを緩んでこないようしっかり締めておきます。

で、両側のカップにグリスを充填して鋼球は最初に装着しておきます。グリスをたっぷり入れておけば、鋼球は写真のようにグリスの粘着力でしっかり止まっているのでカップからこぼれ落ちてくる心配はありません。

あとはハブスパナで玉当たり調整して完了です。

スポーツバイクの中空シャフトも作業手順は同じですが、スポーツバイクの場合はグリス切れではなく逆に粘性が増して見出し写真のようにドロドロになっているケースもあります。シャフトも鋼球もパーツクリーナーなどでしっかりクリーニングしてから装着しましょう。

シャフトを外す時は鋼球が散らばらないよう、こういう網で受けると作業がスムーズです。リンク写真は茶漉しの網ですが、これがけっこう役立つんです。

それと、網の中に濡れティッシュを乾かして敷いておくと、その上からパーツクリーナーで一気にきれいにできるので便利です。1個1個全部拭き取るのはけっこう大変。鋼球を取り出すときは数量チェックも忘れずに。鋼球の出し入れは先っちょの尖ったもので磁気化させて作業すると楽です。

以前、クロスバイクで中空シャフトが折れていたケースもありましたから、スポーツバイクでもホイールのガタツキは日頃から定期的にチェックしておいたほうがよいですね。

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