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チューブラータイヤに起こっていたエア漏れはディープリムに起因していた

2023年01月04日

自転車修理

チューブラータイヤに起こっていたエア漏れはディープリムに起因していた

年明け早々、バルブ関連の話題、第二弾。フレンチバルブを使う時に気を付けておきたい点とバルブの構造や機能について再確認されたい場合は、こちらの記事「自転車の空気圧表示について知っておきたいこと」のほうで。

先月入荷したZIPPのカーボンホイール、装着されているチューブラータイヤが数日経つと前後で微妙に空気圧が変わってる。

チューブがラテックスなら3日くらいで抜けるけど、抜けるのは両方ではなく片側だけ。ということは、チューブはラテックスではなくブチル、これはパンクかな?

チューブラーなのでスローパンクだったらやっかいだなと思いながら、まずはバルブから調べてみることにする。バルブが正常だったら次にタイヤを確認することにして、まず最初にバルブを調べたところ、エア漏れの原因は意外なところが盲点に。

これは前のオーナーも、一回一回乗るたびにエアを入れることになって大変だったろうな。

石鹸水を使ってエア漏れの原因を調べる

チューブラータイヤに起こっていたエア漏れはディープリムに起因していた

タイヤから空気が抜けている場合、バルブが原因となっていることが多くあります。今回はチューブラーなのでチューブのパンクを点検する場合はホイールから剥がさないといけないため、まずその前に、一つずつ原因を探っていくので最初はリムに接着させたままの状態でバルブから調べます。

とはいっても、ディープホイールは、タイヤ装着状態での水調べ点検はなかなか難しい。パンク修理では長方形型のバケツを使いますが、これはタイヤメーカーが作っている自転車屋の専用バケツ。こんなやつね。このバケツにホイールをセットしたところ、やはり、水を目いっぱい入れてもパネルの上までは水の中に入らずこれではバルブを点検できません。

そこで、別の方法で試してみる。使うのは石鹸水。石鹸を泡立ててバルブに付けてみると、おっ、この泡が触れた途端、プク~っとシャボン玉が出てきた。

エア漏れはバルブからだった

バルブからエアが漏れている場合、原因はいくつか考えられます。まず、コアネジの先端が曲がっていて、ネジを締めてもバルブコアの先っちょでゴムが密閉できず漏れてしまうケース。

バルブは取り外しができるタイプとできないタイプがあって、取り外しできるタイプでバルブから外したものをバルブコアといいますが、まずその構造を見ていきましょう。写真はメーカーがそれぞれ別のバルブコアですが構造は同じです。

フレンチバルブのコアネジと着脱ツール

この写真は今回と同じ着脱式のバルブコアですが、チューブと一体となって先端の取り外しができないバルブも、コア軸の先に付いているゴムの箇所は同じ構造です。先っちょのゴムで蓋をしてチューブ内から空気が抜けないよう密閉しています。

で、コアネジの箇所がこのバルブのように曲がっていると、ゴムがしっかり密閉できなくなるのでスローパンクのように徐々に空気が抜けていく原因になります。

ここのゴムの形は写真のようにメーカーによって違うので、その形の違いがコアネジ箇所の曲がり具合によってはエアの密閉性に関係するかもしれないけれども、今回のホイールは目視で曲がっているようにはみえないので、おそらくこれが原因ではないでしょう。これは外します。

次に、バルブコアが緩んでバルブステム(チューブにつながっている真鍮の筒)の継ぎ目からエアが抜けているケースもあります。下の写真は着脱式の延長用バルブステムとバルブコアの参考写真。

延長バルブとバルブコア

継ぐところはこんなふうになってるんですが、ホイールを交換する際にパネルの高いリムに換える時は、チューブが着脱式のバルブだったらこういうので対応できるので便利ですね。ディープホイールに交換してもチューブはそのまま使えます。

このホイールも、チューブは着脱式のバルブが使われているから、今回はそこが一番怪しい、と思い、さっそく増し締めしてみました。でも、シャボン玉は止まらない。

ん~、ここだと思ったのに違ったか。

そうすると、あとは考えられる原因はバルブコア自体。そこで、一応、別のバルブコアに交換して確認してみることに。

バルブコアを2回着脱して原因があきらかに

チューブラータイヤに起こっていたエア漏れはディープリムに起因していた

交換後、同じように石鹸水を付けてもシャボン玉は出てこない。もう一度元のバルブコアを再装着したら、やっぱりさっきと同じ、ぷっくらとシャボン玉が出てくる。ということは、原因はこのバルブコア。

で、何が問題なのか、もう一度外して調べてみることにしました。

結論からいうと、原因はバルブコアに巻かれていたシールテープ。このテープはエアや水漏れを防ぐ目的で配管などに使用するテフロン製のテープ。多くのバイクショップでも使っていると思います。薄いけどかなり強力。ピタッとひっつき、店長もディープリムで延長バルブを装着させる時に、まれに使ったりします。

まれに使う理由は延長バルブを挿入して緩めに感じる時だけ使うから。緩くない時は逆にテープを使うことで太くなってよろしくないケースもあるので、使うのはケースバイケース。奥までしっかり締めれる場合は、心配ならば緩くなくても使ってもよいと思います。

で、話を戻して、正常に使っていれば何も問題のないこのシールテープが、よもやエア漏れの原因になっているとは1回目に外した時はまったく気付かなかった。(初めての経験なので)

もう一度外してつぶさに確認してようやく原因判明。本来、バルブコアからのエア漏れを防ぐ目的で巻いているこのシールテープが、逆にエア漏れの原因になっていたとは・・・。

シールテープがコアねじ挿入部のゴムに引っ付いていました。

テープがこのゴムに干渉して隙間ができたことによって、ゴムがエアを密閉できないために漏れていたんですね。

さっきの、コアネジの先端が曲がっているのと同じ状況をゴムのところで作り出していたのでした。

原因がわかって無事解決

さっそく、シールテープを取り除きます。今回はテープを余計に巻きすぎて、バルブコアの穴にコアねじのゴムが密着するのを邪魔していたわけです。

写真をみると、ゴムが装着される箇所の形状から、そこに余計なものがあるとゴムが密閉できないのがよくわかります。昨年末の記事で、コアネジの重要性を書いていたけどそれと同じくらいに、小さいながらもこのゴムはとても大事な部品。

こうならないよう予防策は、シールテープを使う場合はバルブステムの中に入るネジ山の下から先には巻かないことと、コアねじを最初に締めた状態でテープを巻いてからバルブコアを挿入すれば、今回のようなエア漏れは防げると思います。

特に、さっきのテープが巻かれている写真をみるとネジ山のすぐ下にテープが擦れてくっ付いていますが、ここの黒いゴムがステム内でピッタリ密着することが大事ですから、軽くテーパーが付いているそこにテープが貼り付いてるのもよくないです。

そもそも、このバルブコアは装着する時に緩くはないのでテープは使わなくともよい状況ですね。

まずは原因がわかってひと安心。無事解決はしたけど、このホイールは念のため別のバルブコアに交換して作業終了。一応、石鹸水でチェックしてエア漏れが解消したことは確認済みです。長々と書いてますが、原因さえわかれば作業自体はごく簡単。

そういえば、エア漏れついでに、チューブレスタイヤについてもちょっと書いておきます。

チューブレスの場合はシーラントを使う方もいらっしゃるかと思いますが、シーラントが原因で、エア漏れやエアが入りづらいなどトラブルが起きることもありますから、スペアのバルブコアを何本か準備しておくことをお勧めします。さっきのバルブコア2本と一緒に写っていた着脱ツールもご一緒に。

シーラントが固化して固着してしまい、チューブに付属のこの簡易ツールでバルブコアが外れなかったら、工具メーカーのアルミ着脱ツールでお試しください。無事に外れても、シーラントが原因となったバルブコアは使わないほうがよいですね。

エア漏れやエアが入りづらいなどのトラブルは、長期間エアの注入がないために、2つ上の写真で見た先端のゴムに固着したシーラントが干渉しているためですが、着脱式でないバルブが固着した場合の解決策は、バルブそのものを交換することになります。根本的な解決策は、乗車しているシーズン中のように、定期的にエアを入れておくこと。

ちなみに、バルブコアを着脱できるツールが手元にあったら、クリンチャータイヤを使っている方は、新品チューブを用意する時に着脱式のバルブの場合は箱から出して確認しておきましょう。メーカーによって締め方が甘いチューブもありますのでご注意を。もっと締められる場合は増し締めしておくことをおすすめします。

このホイールは、最終的に数日経っても空気は抜けていないことを確認し、これで作業はすべて完了。今回も初めての経験で、店長にとっても今後のために知識を深めることのできた良きメンテナンスの一幕でした。

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