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リアディレイラーに生じていた致命的トラブルから復旧した方法

2021年07月27日

自転車修理

リアディレイラーに生じていた致命的トラブルから復旧した方法

Wheels Manufacturing(ホイール・マニュファクチャリング)のドロップアウト・セーバーというリペアパーツをご存じでしょうか。

ほとんどの方が使わない製品ですが、もしリアディレイラーのエンドハンガーにトラブルが起こった時に、これがなければバイクが使用できない可能性が高くなる、いわば救世主のようなパーツです。

今回は、ドロップアウト・セーバーを使用してリアディレイラーの不具合が解消した内容について書いていきます。

ホイール・マニュファクチャリング社のドロップアウト・セーバー

リアディレイラーに生じていた致命的トラブルから復旧した方法

店長もショップをオープンした時に、もしもの為にとこれを用意していました。幸いにも使う機会は訪れず、もう使うことはないだろうと22年も過ぎた今になって、まさか今回これを利用することになるとは夢にも思わなかった。

今回のトラブル修復は、ある意味それだけ貴重な経験をしたことになりますが、他の方がもしも同様のトラブルに見舞われた場合に備えてお役に立てれるよう、作業方法も含めて少し詳しく書いていこうと思います。

この部品を装着する時は、そのトラブルを解決するための最終手段となるわけですが、装着の作業をミスるとバイクが使用できなくなる可能性大。十分ご注意ください。

また、この方法は最終手段として止むを得ず行うことになると思われます。他にはリコイルインサートという方法もあるけれども、そちらは費用が高額になるので、今回はドロップアウト・セーバーを試しました。もし、記事を参考にして実践する時は、ご自身の責任の元で行ってください。店長が作業してみて気を付けたほうがよいことも挙げていますが、あくまでも参考記事ということで。

ちなみに、以前、買取りしたバイクで、フロントディレイラーの固定にリコイルを行っていたケースがありました。もちろん外からはわかりません。どうしてリコイルをしているかわかったかというと、直付け台座の固定ネジを緩めたら、ネジにインサートがくっ付いて一緒に抜けてきたから。インサートを入れる際に穴を大きくし過ぎたのでしょう。リコイルも注意が必要ですね。

リアディレイラーハンガーに生じていた致命的トラブルとは?

バイクを買取りした時に、これまでも不具合なことが多くありました。このブログを読んで頂いている方ならご存じだと思います。完成車はほとんどがパーツ交換で対応できてましたが、今回は先回に引き続きフレームのトラブル。フレームはこれで3件目かな。

今回の買取りバイクはセカンドユーザーの方が所有されていて、査定の時に変速の調子が悪かったのが気にはなってましたが、先々回のようなイレギュラーな組み合わせではありません。ほとんど乗っていないということで、この症状はその前のオーナーの時からなのでしょう。

変速はインデックス調整で簡単に直ると思っていたけど原因は違った。変速の不具合は別のところにあった。しかもやっかいな状態になっていてこれは初めてのケース。

変速に生じていた不具合の原因は、リアディレイラーハンガーのネジ山。変速機とハンガーの間に隙間が見えるので、最初は固定ボルトの緩みが原因だと思いました。でも締めても一向に止まる気配がない。あちゃ~、これはネジ山が舐めっている。

舐めったエンドハンガーをタップ処理で修正しようと試みる

このバイクはハンガーがまだ交換できない年代のモデル。その交換不可のハンガーでこんなことは初めてですが、ドロップアウト・セーバーを使う前に、まずネジをタップ処理で修正できないか試そうと思いました。

でも、リアディレイラーを外してネジ山を見た瞬間、諦めました。この状態では無理だろうと。スチールなら可能かもしれません。材質的に弱いアルミは、この状態はタッピングしても意味がないだろうと即座に判断。

ドロップアウト・セーバーを使用する場合は、ネジ山を全部削って広げてから装着します。ドリルもしくはリーマーで広げるわけですが、一旦作業に入ると後戻りはできません。このリペアパーツを装着する時は、広げた穴が真円になるよう正確に削らなければなりません。万一ハンガーに対して垂直に穴を広げることが出来なければ作業は失敗。ディレイラーを取り付けることが出来なければそのバイクはもう使えません。

なので、リスクの大きいドロップアウト・セーバーを装着する作業の前に、タッピングが無理なら、もう一度、ネジ山をきれいにした上で、ディレイラーを固定できないか試してみることにしました。削れたアルミ片が原因しているなら、それを取り除けば直るのではないかと・・。一縷の望みを掛けて早速トライ。

ネジ山の汚れを洗浄するためパーツクリーナーを吹き掛けたら、やっぱり削れたアルミ片が出てきた。

ハンガーのネジ山をしっかりきれいにして、通常よりも多めにグリスを付ける。

ギア周りを作業する時の軍手でディレイラーをしっかり保持して慎重に取り付けていく。

結果は、残念。固定できなかった。本体に力を加えると隙間が見えるほどぐらつく。ネジ山をきれいにしての装着も失敗。徒労に終わる。

しかし何事も経験です。人は失敗から多くの学びを得るのですw

 

いよいよ緊張みなぎるドロップアウト・セーバーの準備作業へ

ハンガーの表側からはわかりづらいけど、裏側から見ると完全に山がなくなっている。やっぱりこれではタップ修正も無理。一山二山つぶれた状態ならばタップで直るかもしれないけれども、すべてのネジ山がなくなっているこの状態では駄目だろう。最終手段のドロップアウトセーバーを使うことにしました。

まず、ドロップアウト・セーバーを装着する前の下準備。これが一番リスクの大きい作業となります。アルミフレームを削る作業はショッキングなのでお見せできません^^;

ハンガーの9mm穴を3mmほど広げます。作業の前にハンガーのネジ穴を計測したところ、通常の9mmから実測9.5mmと山が削れて径が拡がっています。これは仮にタップを通しても、10mm径のディレイラーを装着するM10タップ(M10×1.0ピッチ)ではやっぱりグラグラ状態は解消できないですね。

ところで、ネジ穴を拡げる場合ですが、ホイール・マニュファクチャリングの正規品、ケース入りのドロップアウト・セーバーには12mmのドリルが付属しています。ドリルを使用する場合は、フレームのBBをビルダーが使う治具などで固定しないとハンガーの垂直度が出ないから作業が難しいし、この作業で何より大事な切削穴の精度を出すということからも、ドリル使用は難易度が高いので市販のリーマーを使ったほうがよいかと思います。

店長も今回は泥除けの穴あけなんかによく使用するリーマーで作業しました。リーマーでネジ穴を拡げるたびに、頃合いを見計らってハンガーに当てて何度も何度も確認。リーマーはテーパー形状なので、一方向からだけではなく、表側と裏側の両側から均等に拡げていくことが重要です。

そして、リーマーで拡げる時は、穴の大きさはドロップアウト・セーバーが途中で止まるくらいにしておいて、それ以上は拡げないほうがよいです。ハンガーはアルミなので、ディレイラーの固定ボルトを締めて押し込んでいくと、装着後のドロップアウト・セーバーもガッチリ固定されて動くことはないかと。

ドロップアウト・セーバーは、外径を測ったら実測11.7mm。なので、付属の12mmドリルを使うと穴が大きすぎて、そちらの作業方法は逆に具合がよろしくないかと思われます。

無事、セットが完了しました。やれやれ、これでひと安心。やっと肩の荷が下りた気分です。

再発防止策

さて、なぜ今回このようなトラブルが発生したか、バイクを組み立てる時や、部品交換の際にいつでも起こりうることなので、少し検証してみましょう。

アルミのエンドハンガーにディレイラーを装着する場合、最初のひと山にディレイラーのネジ山がしっかり掛かれば通常は抵抗なくネジが回せます。でも、ちょっとでも抵抗があったら、一旦戻して抵抗のない状態を探りながらボルトを締め込んでいく必要があります。

エンドハンガーに限ったことではありませんが、ネジに抵抗を感じる時に、それを無理に回すと今回のようにネジ山が潰れてしまうんですね。アルミは材質的にもスチールよりも簡単に潰れるのではないかと思われます。

そして、アルミのエンドハンガーで特に注意したいのは、フレームの塗装をハンガーを装着した状態で一緒に塗装しているケース。中にはネジ山まで塗料が付着しているケースもあったりして、こういうフレームはディレイラーを装着する時にネジ山の最初の掛かりがわかりづらい時もあります。十分に注意したいですね。

ネジ山を舐めないために、大事なのは最初のひと山。そこに意識を集中して今回のようなトラブルに見舞われないよう、部品を装着する際はくれぐれもお気をつけください。

ちなみに、自転車部品の装着で店長が特に注意している箇所は、スレッド式BB、スプロケットのロックリング、そして今回のエンドハンガー。精度の低いペダルシャフトやクランクのネジ穴もたまに苦労することがありますね。スプロケットのロックリングは、緩み止めの薄いギザギザワッシャーが曲がっていたりすると入れづらいので、ホイールを横にして装着すると作業しやすいです。ロックリングにツールをセットしたら、一回逆回ししてから面を整えるとさらに装着しやすい。試してみてください。

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