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圧入式のボトムブラケットについて考えてみる

2020年11月26日

パーツ換装

圧入式のボトムブラケットについて考えてみる

圧入式のボトムブラケット(以下BB)が主流になりつつある中、増えてきたのがBB周りから発生する異音。お悩みの方も多いと思います。解消法は交換がベストですが、同じ製品では再発する可能性もあるため、サードパーティから出ているコンバーターがおすすめです。

今回はBBの規格に関してと、異音対策の方法、部品交換の際にちょっと手こずった内容をまとめてみました。BBの規格についてはもしもご存じなければ参考にしてみてください。

群雄割拠の圧入式BB規格

圧入式のボトムブラケットについて考えてみる

バイクのコンポを換装しようと思った時に、おそらくもっとも頭を悩ませるのがBBの規格ではないでしょうか。この規格、本来はフレーム側のハンガー規格になります。

圧入式が採用されるようになってから様々な規格が考案されてきました。バイクメーカー主導の規格やパーツメーカーが提唱する規格、さらに自社の独自規格で生産しているバイクメーカーもあって、混乱に拍車を掛けることになったわけですね。

バイクメーカーが主導する規格はキャノンデールのBB30や、GIANT(とシマノ)のプレスフィットタイプなど。パーツメーカー提唱は、FSAが起こしたBB386EVO(BB386表記が多いですが同じ規格)やローターのBBrightなど。

BB386EVOは本来クランク側の規格ですが、SRAM GXPの24-22mm異径シャフトなどクランク側を中心として呼ばれている規格もありますね。

サードパーティのコンバーターを探す時に訳わからない状態の方もいるかもしれません。このような状況では無理もありません。整理していきましょう。フレームとBBとギアクランクの適合規格を照合する時に役立つ一覧をあとからご紹介します。これを見ると整理しやすいと思います。

しっかり把握しておきたいBBの仕様規格

フレームのハンガーはBBシェルとも言いますね。ここからはそっちのほうが呼びやすいのでBBシェルでいきます。

このBBシェルの規格は、大きく分けてネジ式(スレッド)と圧入式(スレッドレス)。ネジ式は、現在はほぼBSA(1.37×24T)とITA(M36×24T)の2種類で、もう一つフレンチ規格もありますが今はほとんど使われていないのでここでは省きます。

BSA(名称違いのBSCも同規格)とITAは、シェル幅が68mmと70mmだから測ればすぐにわかります。確認作業はごく簡単。

ところが、圧入式のほうはおもに採用されている規格でも現在10種類以上あって乱立状態です。中には規格そのものよりも、ただシェル幅を変えただけの規格もあったりして、しっかり把握しておかないと、トラブルの元にもなりそう。

ちなみに、コンバーターを利用する場合に規格違いの製品は使用することができませんので、間違わないよう現在市場に出回っているおもな圧入式BBの仕様と規格を取り上げてみます。ベアリングをフレームにセットするだけのBB30も一応圧入式ということで。

圧入式BBの規格一覧

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まず、こちらでサードパーティのホイールマニファクチャリング社の規格一覧表をシェアしたいと思います。ご覧になってみてください。

そして、この一覧表よりももっとわかりやすく、以下に規格の要点だけを簡便にまとめてみました。ここに掲載している規格はロードバイクのみで、メーカーの独自規格(LOOKとかTREKとか)は省いて汎用性のある規格だけに絞っています。

■BB30
・BBシェル幅:68mm
・BBシェル内径:φ42mm
・ベアリング内径:φ30mm(外径はシェル内径と同寸42mm)
・対応クランク:シャフト径30mm

■BB30A
・BBシェル幅:73mm
・BBシェル内径:φ42mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※BB30よりもペダリング効率と剛性を高めるためシェルの反ドライブ側を5mm延長。

■PF30
・BBシェル幅:68mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※BB30と同寸のベアリングをカップに圧入してプレスフィット化した仕様。シェル内径4mmの違いはカップの厚み分。クランクはBB30用が使用できる。

■PF30A
・BBシェル幅:73mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※PF30のシェル幅を反ドライブ側に5mm延長しただけで目的はBB30Aと同じ。

■BB86(PF86とも)
・BBシェル幅:86.5mm
・BBシェル内径:φ41mm
・ベアリング内径:φ24mm
・対応クランク:シャフト径24mm
※シマノのプレスフィット規格といえばこれ。おそらく一番多く出回っている。

■BB386
・BBシェル幅:86.5mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※PF30とBB86の合体版のような規格。クランクは専用品。PF30用のクランクは、径は同じでもシャフト長が短いから使えない。
※EVOが付いたBB386EVOという表記も見掛けますがこれは本来フレームを作らないFSAが提唱したBB386のクランク側規格。

■BBright
・BBシェル幅:79mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※ベアリングは他の内径φ30mm品と同じく使い回しができるが、クランクは専用品。

紛らわしい規格名称にご注意!

上記が現在流通されているバイクのおもな規格です。とりあえずはこの規格だけでも頭に入れておけば大丈夫なはず。いかがでしょうか。ご自分のバイクがどの規格に該当するかおわかりになりましたか?

この中で、規格としての名称がチトややこしいものが1つあります。それはBB86。この規格の仕様はシマノ(とGIANT)が提唱して流通されているものですが、シマノではこうは呼びません。上ではあえて「BB86」と書きましたが、シマノ製品で圧入式の規格は1つだけ、アダプターも作ってないので名称は単に「プレスフィットBB」。もちろん同じ提唱メーカーのGIANTもこの呼び方です。

同じ規格でもBB86と言ったりPF86と言ったり、さらに混乱してしまいますがこの規格名はサードパーティが作ったものでしょうか。出処はわかりませんがシマノ提唱の仕様が通称化したものなんですね。

この規格名、パークツールでは適応規格を2つとも表記していますね。シマノとシマノ以外の規格名を、「シマノプレスフィット」と「BB86」とそれぞれ掲載しています。こちら

圧入式の規格が多過ぎて混乱するのに、同じ仕様で規格名が違うだけなら混乱に拍車を掛けてしまいます。困った問題。業界全体で統一できるものは統一してほしい。ユーザーはきっと規格は少ないほどありがたいはず。

走行性能にも優れるトーケンコンバーター

圧入式のボトムブラケットについて考えてみる

実際に部品を交換する場合ですが、まずBBシェルの仕様を確認しなければなりません。圧入式BBはネジ式のように簡単ではありません。部品メーカーとバイクメーカーが入り乱れ、各人各様の見解でBB市場はまさに群雄割拠。

圧入式BBは、規格を調べるための確認工程も多いです。まず、ギアクランクを外し、クランクシャフト径を測り、BBシェルの内径を確認して対応するベアリングの規格を調べ、さらにシェル幅も測定してとネジ式のように簡単にはいきません。

フレームやバイクメーカーによって仕様規格はある程度は決まっているものの、モデルによって違ったりモデルが同じでも年式によって規格が違っていることもあるから一様ではありません。圧入BBを交換するときに一番手っ取り早いのはメーカーや代理店に確認することですね。一覧表のように似たような規格もあるから間違えたら大変。

アティックでいつも使っているのはトーケンのNinjaシリーズ。ほぼすべての規格に対応しており、中には1モデルで数規格に対応できる製品もあって便利なコンバーターです。

NinjaのBBは、左右の先端に雄ネジと雌ネジが切ってあって、圧入式ながら右と左をねじ込んで一体化させることで、ワンとベアリングの平行度が高くなりクランクの回転がとてもスムーズ。ペダリングが軽くなります。

中古の買取りバイクでも、クランクの回転が重く感じるケースがあったります。これはフレームハンガーの精度が関係する場合もあると思いますが、シールドベアリングの圧入BBの場合、左右独立タイプのBBではこれはある意味宿命なのでしょう。

Ninjaの方式はスレッドフィットBBと呼びますが、この方式が圧入式の対応BBでは一番よいと思います。もしペダリングが重く感じるようになってきたら、クランクの回転を確認してみてください。その場合はチェーンを外して抵抗がない状態で、重いように感じたらBB交換で改善できる可能性が高いです。試す価値はあるかも。

圧入式BBで一番多く起こるトラブル「異音」

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サーヴェロに乗っている知り合いのお客さまから、BB周りから異音がするとご相談を受けて、今回もトーケンのスレッドフィットBBに交換しました。圧入式のBBは、基本的に再使用は想定していないので交換以外の対応は難しいです。取外しは工具で叩き出すので、再使用する場合はベアリングにどんな影響が及ぶかも心配です。

スレッドレスBBの場合、BB30などは構造的に音鳴りが発生しやすいのかもしれませんがけっこう耳にしますね。

でも、サーヴェロのBBrightのように、ベアリングがカップに収まって圧入されるBBは、圧入式の中では音鳴りは比較的少ないかと思います。5年前に納車したお客様のサーヴェロも、この方はレースにも出ていてかなりの距離を乗る方ですが、今でも音鳴りは発生していないようです。ご来店の時にバイクの状態を拝見するとけっこう雨でも乗ってるようなんですが。

そうはいっても、現実に異音がしてお困りの方もいらっしゃるでしょう。対策として、もしもBBを交換されるなら以下の方法がおすすめです。

効果的な異音解消法

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圧入式BBで異音を解消させる手軽で簡単にできる方法、それはグリスを塗っておくことです。

圧入式のBBでは、フレームに圧入される箇所に直接グリスを塗っておくと、音鳴りには効果が高いと思われます。ただ、圧入カップが樹脂の場合、グリスが原因で劣化する可能性もまったくないとはいえず、シマノでは逆に塗らないようにと言っています。トーケンのマニュアルにはイラストでグリスを塗布するようになっていますからメーカーによって対応が分かれるようですね。

これはケースバイケース、グリスを塗るなら自己責任でお願いします。ここで、もしも、グリスを塗ることでBBが緩むのではと、そのような心配をされる方がいらっしゃったらその心配はご無用です。カップにグリスが付いていても、ギアクランクを回転させる踏力がハンガーに影響を与えて緩んでしまうとは到底考えられません。

グリスは固着防止にも役立つから一石二鳥。以前、シマノのプレスフィットBBがいくら叩いても外せないことがありました。これ以上やったら壊れると思ってやめましたが、こうなるとこれからそのBBをずっと使い続けるしかなく、シマノ以外のコンポが使いたくても諦めるしかないですね。たぶん原因は汗。汗で腐食して固着したのではと思われます。

納期が関係なかったら浸透性のよい潤滑剤を注して経過を観察することもできましたが、その時は時間的に対応できなかったです。

それ以来店長にとって、圧入式BBにはグリスが必須となりました。たまたまその時は上位グレードと同じ規格だったからBB以外は交換できたけど、使いたい部品が使えないなんて最悪ですからね。
 

…… 途中ですが、今日はここでタイムアウト。時間がなくなったので、続きはまた次回書かせてもらおうと思います。体力も切れたので今日はこの辺で。ではではw

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