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スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

2021年02月24日

機材情報

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

昨年末から続いているボトムブラケット(以下BB)規格の第4弾。前回の記事を書き終えてから、店長の中でずっと続いていたもやもや感、原因は、スペシャライズドのBB規格「OSBB」。

今後、スペシャのバイクでパーツ換装のご依頼を頂いた時にもしっかり対応できるようにと、このOSBBの規格を調べてみました。

スペシャライズドのOSBB規格は2種類のフレームがあった

まず、OSBBにはフレームのシェル幅が2種類あるようです。カップ圧入前のシェル幅で、61mmと67mm。61mmのほうは古い規格、ホイールマニファクチャリングのページが詳しいです。

他のサードパーティでも61mm表記が多いけど、一般的に言われている61.5mmとの整合性は不明。シマノの86.5mmを86mmと表記しているケースと同じでしょうか。67mmは前回登場したターマックの実測値から。

フレームだけならシェル幅の違いだけですが、装着されているBBを含めて言うと、スペシャライズドのフレームはほんとにややこしい。そこで、スペシャライズドのカスタマーサービス(以下、カスタマー)に確認した内容も踏まえて少しまとめてみました。

以後、67mmと表記するのは規格ではなく、このページで店長が語っているシェル幅なので、それを前提にお付き合いください。

OSBBとプレスフィットBB30という呼び方、およびOSBB規格の変遷

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

スペシャライズドのOSBBフレームにサードパーティのコンバーターを使うときに、ネットを検索すると多くのショップさんでBB交換に失敗したケースを見掛けます。

なぜでしょうか?

まず、その前に、少し整理しておきます。OSBBには規格が2種類あるといいました。正確には規格の基となるフレームのシェル幅ですが、61mmと67mmです。いずれもカップを圧入して68mmシェル幅のBBに対応しています。61mmシェルは3.5mm厚のカップを左右2枚入れて、67mmシェルは1mm厚のカップ圧入で68mmです。

引き合いに出しているターマックは67mmのほうで、現物が提示の根拠。これは1mm厚のアルミカップがドライブ側から圧入されて、反ドライブ側はハンガーを窪ませて両端で68mmにしています。

カップのつばがハンガーの外側に出ているのはドライブ側のみで、こっちは少し膨らみがありますね。なぜつばが片側だけなのかは不明、窪み膨らみの形状も意味があるのでしょうが不明。カップを圧入後に接着しているこの仕様を、カスタマーはプレスフィットBB30と呼んでいます。

プレスフィットBB30というのも初めて聞きますが、前回のとおり、カーボンハンガーに圧入されているカップは切っても外れないからターマックのBBシェルが接着式なのは間違いない。

WheelsMfgページが正しければ、OSBBは2011年に製造され、その数年後に61mm幅のシェルにアルミカップが接着されたようです。カスタマーが言うには、最初の素材は樹脂。これはまだ接着されておらず、その後、異音対策でアルミになり、そして接着という過程に至ったようす。接着も最初はロックタイト、次にエポキシ樹脂という流れ。

今回のターマックは年式不明ですが装着コンポは6800ですから、これは6800が出た2014年以降のモデル。
(※シマノコンポの変遷をモデルごとにまとめていたファイルをPDFでアップしましたので、ご関心あればこちらからダウンロード頂けます。スピードごとに色分けしているので見やすいと思います。R9100から4年後の今年は12sが期待されましたが、コロナの影響か4年スパンのモデルチェンジはなくなりましたね)

6800が装着されたターマックは、2014年以降は67mmシェルの接着フレームで製造されていることになるので、WheelsMfgページで「数年後に61mmシェルを接着」と言っているのは2014年より前ですね。61mmシェルがこれ以前の2011~2014年だけ製造されていたのか、あるいは2014年以降も継続されたかは不明ですが、2014年2月のショップ情報で61mmシェルの話題もありましたから、この頃が切り替わりの時期だったのかもしれません。プレスフィットBB30という呼び方もこの頃なのかな?

前回の記事で、その時はまだOSBBに2つのシェル幅があるとは知らなかったため、そこが一番のもやもやでした。OSBBは61.5mmと聞いているのに、ターマックはもっと幅がある、なぜっ?ていう疑問も、今回の記事をまとめることで気持ちも頭の中もスッキリ爽快!

OSBB用のコンバーターを選んで失敗するケース

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

さて、ここで先ほどの失敗ケースに戻ります。

疑問だったのは、61mmシェルと67mmシェルの見分け方。もちろん計測すれば一発ですが、見た目ですぐに判断できないか知りたかったのです。

67mmは現物があるけど61mmのシェルは見たことがない。そこでググッて探しに探した結果、あるショップさんのページに掲載されていました。

接着されていない樹脂カップのOSBBをコンバーターに交換するこちらの記事で、3.5mm厚カップの61mmシェルを確認させてもらいました。

Webの情報を頭の中でまとめると、アルミカップが接着されているフレームは67mmシェルで、樹脂製カップ装着フレームはカップを外すことのできる61mmシェルのフレーム、というふうに判断していいようですね。

ここで問題となるのが、OSBBのBBを交換しようと思ったときに、61mmシェル用にしか対応できないサードパーティのコンバーターを選んだ場合。失敗するケースがこれです。

前述のとおり、スペシャライズドでは67mmシェルのフレーム(対応BBは68mm規格)もOSBBと言っています。

カスタマーにOSBBの規格を確認していた時に、その担当の方は「フレームが61mmのシェル幅?なんですかそれ?そんなものはない!」みたいな反応だったので、現在販売している規格を前提にしての回答だったのか定かではありませんが、いまはシェル幅61mmのフレームは昔の規格。

OSBBの表記だけで判断してOSBB専用のコンバーターを購入した場合は、そのコンバーターは、カップを取り外せる61mmシェルのフレームにしか使えません。もし67mmシェルのフレームだったら、BB30と同じ仕様となるからBB30用のコンバーターを用意しなければなりません。

くれぐれも気をつけたいOSBB規格のシェル幅

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

整理すると、失敗するケースは、交換バイクが67mmシェルのフレームのときと、あとはこちらのように61mmシェルでもアルミカップが接着されているケース。

繰り返しますが、フレームのハンガー規格をカタログなどOSBB表記を参考にOSBB専用のコンバーターを準備した場合、上記のケースでは、61mmシェルを前提にしたサードパーティ製コンバーターは対応できないということになります。

この場合は、シェル幅68mmのBB30用が必要ということです。ギアクランクだけを同じシャフト径のクランクに換える場合は、そのバイクはBB30規格のクランクなので、ギアクランクだけを交換するならBBはそのまま使えます。

スペシャライズドのバイクはOSBBの言葉に捉われることなく、シェル幅を実測してコンバーターを選んだほうがよいかと思います。

そして、61mmシェルの場合は接着されているかどうかも含めて確認してください。

OSBB規格のBBはサードパーティの各社からいろいろ出ているようですが、失敗しないためには、前回もご紹介した、カラーの付け外しで対応しているPRAXIS WORKS「コンバージョンBB OSBB」だったら安心ですね。

このように気をつけないといけないのはOSBBくらいかな。完成車メーカーでは、装着BBはスレッド式に回帰する流れが起きているので、スペシャライズドに限らず、だんだん圧入式は減っていくのではないかと思われます。軽さと剛性アップが謳われた30mmシャフトは、期待していたほどのメリットは得られなかったと聞きます。異音対策もまだまだ万全ではないですしね。

スペシャライズドのフレームでパーツを換装する時に注意しておきたいこと

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

スペシャライズドといえば、以前、こんなトラブルがありました。

5年ほど前ですが、コンポーネントを換装した時でした。デュラエースに全換装したいというご依頼で、もちろん付いてるクランクはホローテックⅡではありません。対応する規格のコンバーターを取り寄せてBBを交換しました。ベアリングがセラミック仕様の高精度な圧入式BBです。

パーツをすべて交換し終わって、さて納車というときにお客様が異音が出ていると言われます。換装後の変速を確認してもらっている最中、スプロケットのロー側数枚で確かに他のギアとは違った音でしたが、お客様にとってはこれまでとは明らかに違う音とのこと。

もう一度調整してみることにして、何度も調整を繰り返してはみたものの、やっぱりその音は消えることなく変わりませんでした。

パーツをそのまま交換しただけで、まさか異音と取られる音が発生するとは思わず、その音を解消する手立てもなく、こういうケースがなかったか、スペシャライズドに聞いてみました。

明確な回答はなかったものの、装着クランク(確かFSA)をシマノに替えるBB30用のアダプターは用意しているということで、アティックではスペシャは扱えないため、結局、お客様のご意向でBBは外して、その高価なBBはこちらで負担することにしました。

その後、その音が解消したのかどうかはわかりません。パーツの換装でこういうことは初めてでしたが、スペシャのバイクでそういう事例があって、これ一回きりですが店長にとっても苦い経験です。

ギアクランク交換後に生じた異音の原因

スペシャライズドの圧入式ボトムブラケット「OSBB」装着フレームの謎

あの時なぜロー側で異音が発生したのか、その原因を考えてみました。廉価グレードでは当たり前の音も、デュラエースとなるとさすがに気になると思います。

異音はおそらくリアセンターの長さが関係していたのではないかと思われます。確信は持てないけど、パーツを交換したあとに発生した症状だったらそれ以外は思い浮かばないから。

例えば、フレームがエアロ型形状のフレームの場合、整流効果を狙っているのか、剛性を高めるためなのかメーカーの思惑はわからないが、シートチューブの裏側を加工してバックを詰める仕様にしているフレームをよく見掛けます。

この形状のフレームの場合、どうしてもリアセンターが短くなって、結果的にロー側ではリアセンターが短くなるほどチェーンラインとの角度は相対的に大きくなり、ギアに対するチェーンの負荷抵抗も増していきます。

これはもちろんチェーンと歯先の接触にも影響し、そこから異音が発生したものと推察します。ギアの歯数の大小にも関係してくるでしょう。

シマノのロードコンポは、フロントディレイラーがダブルギアは43.5mmのチェーンラインで正常に動作するよう設計されていて、これは「シートチューブ中心~アウターとインナーギアの真ん中」までの距離ですが、ギアクランクとBBはもちろん、フレーム側もパーツ装着状態で43.5mmのチェーンラインとなるように求められているんですね。

コンポを使用するときは、グループ同士での使用をシマノが推奨しているのはこういうことも関係してきます。ですからシマノは他の規格フレームに対応するためのコンバーターを一切用意しないのかもしれません。

スペシャライズドに限らず、メーカーでバイクを製造する場合は装着部品でしっかりテストはしているでしょうから、完成車で販売しているバイクでおかしな異音が起こることはないでしょう。

しかし、リアセンターが短いバイクでは、パーツを別のメーカーに交換した場合、相性の良し悪しによって異音につながることもあるかもしれないし、今回のようにギアクランクをコンバーターで交換した後に同じようなことが起こる可能性もないとは言えません。

店長はパーツ交換後の異音はこのスペシャライズドの時だけでしたが、パーツを交換する前の参考情報として、こういう事例もあるということで紹介させてもらいました。

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