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リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

2024年01月07日

機材情報

リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

ロードバイクの買取を行っていると実に様々なトラブルに出くわします。今回はリアディレイラーに起こっていた不具合で、異音が発生していました。

異音自体はトラブルではないけれども、問題を引き起こしていたのは「Bテンションアジャストボルト」。非常に珍しいケースですが、このボルトの装着不良についてご紹介します。

Bテンションアジャストボルトの装着不良

リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

買取したバイクを点検整備していた時に、リアディレイラー(以下、RD)のロー側が正常に機能していないので調べてみると、その原因はRDのテンションを調節するアジャストボルトにありました。

シマノが言うこの「Bテンションアジャストボルト」は、ローギア側でギア詰まりが起こっている時にそれを解消させるために必要な部品です。

このバイクでもギア詰まりで異音が発生していたんですが、そこでアジャストボルトで調整しようと思ったら、なんとこのRDにはボルトが逆向きに取り付けられている。

もちろんこの状態ではプーリーの上下位置を調整することはできず、当然トップギア側のテンションも調節できません。インナートップでチェーンが弛んでいる状態の時には、以前、同じような状況だったこちらの記事「変速不良を起こしていた原因」で対応したように、Bテンションアジャストボルトで調節します。しかしこのRDではそれができず、さらにRD本体も自由に動かない状態。

ボルトが装着されている輪っかのプレートを、シマノでは「ストッパープレート」と呼んでますが、最初はそのプレートがずれて動きが悪くなったのかと思いました。でもRDを外して裏側から確認したらプレートはずれてはいない。位置は正常なのでこの時はなぜ動きが悪いのかまだわからなかった。

そして、反対側からねじ込まれていたこのボルトは、シマノ純正品ではありません。多少ガタ付きもある。どうして純正ボルトをわざわざ換えたのか。正常に作業していたら曲がることは考えづらく、ここのボルトはドライバーで調整するだけなので締め込む時はそれほどトルクは大きくないけど、何らかの理由で頭をなめてしまったのかな。それにしてもなぜ逆向きに装着したのか摩訶不思議。

とりあえず、逆向きボルトは一旦外して正常に装着しなおして、まずは一件落着。これで本体の動きも解消した。逆向きの時はボルトの頭が太すぎてエンドに干渉して本体が動かなかったようだ。正常に装着し直し無事解決。

ただ、ボルトを締め込んでいったら直ると思った異音はまだ完全には解消されていない。テンションアジャストボルトには常に力が掛かるようになるため、ネジ山のガタ付きも気になる。

ガタが大きいと、エンドの爪にボルトが当たる面積が狭くなるので、使っていくうちに削れないとも限らない。今はボルトの引っ掛かりが半分くらい。

エンドはアルミだから、このままでは半分だけ引っ掛かっている部分が削れていく可能性大。そうなると、アジャストボルトの機能にも支障が出るだろう。ボルトが装着されているストッパープレートも本来の位置ではないように感じる。結局、このRDは交換することになります。

リアディレイラーを装着する時に気を付けたいこと

リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

通常、リアディレイラー(以下、RD)は新車ならそのまま使い続けるケースが多いと思いますが、コンポの載せ替えなど、ご自分でパーツ交換されたい方もいらっしゃるかと思います。

ご自分でRDを装着する場合は十分気を付けて作業したいものです。特に新品フレーム。エンドハンガーが塗装されていないバイクは安心ですが、もしフレームと同色でハンガーまで一緒に塗装している場合はネジ山の最初の掛かりがわかりづらい場合があるから。なかでもアルミフレームは要注意。

もしも雄ネジと雌ネジのネジ山がずれている状態でRDの固定ボルトを締め込んでいった場合、ネジ山が潰れてしまい、正常に装着できなくなってしまいます。ネジ山がずれて、知らないままRDを傾いた状態で装着すると、変速不良につながる可能性大。変速不良が起きてしまったらこの状態では直すことが出来ません。

ネジ山を潰した時に、エンドハンガーが一体式のフレームの場合はアウト。そうなると、修復する方法は唯一つ、ドロップアウト・セーバーを使うこと。店長も買取りバイクで1回だけ経験あります。変速不良で発覚したトラブルでしたが、その修復作業「リアディレイラーに生じていた致命的トラブルから復旧した方法」で書いたリペアパーツを使った修復はけっこう時間が掛かり、まあまあ大変だった。

ドロップアウト・セーバーの使用は、最後に残されたエンドハンガーの修復作業となりますが、もちろん強度は落ちるので、今後に不安を残すこの修復作業は出来れば行いたくない作業ですね。

そこで、これからRD交換にトライされる方に向けて、トラブルを引き起こさないよう気を付けておきたい注意点などご紹介しておこうと思います。Bテンションアジャストボルトの修正作業をした時の写真を見て頂きながら、交換作業の参考にして頂ければ幸いです。

ちなみに、中古部品を装着する場合は、装着以前にも気を付けておかなければいけないことがあって、見出し直下の画像は装着後に気付いた不良品ですが、この不良RDの記事「ロード部品交換の時に注意しておきたい駆動系の製品不具合について」で、どういう不良だったのか確認いただけます。中古部品を予定している場合は、不良品に当たらないようリンク記事を参考にご注意ください。

リアディレイラー交換の具体的手順と注意点

リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

それでは作業手順について。まず、RDを外す場合は最初にケーブルを抜いておきます。もちろんチェーンも切ってプーリーから外しておきます。今回のように、交換はしなくとも何らかの原因でRDを取り外す場合も(ショップではエンドを修正する時など)、本体に余計な抵抗が加わらないようにケーブルを緩めてから行います。そしてエンドにアジャストボルトが干渉しないように、本体のスプリングを伸ばした状態を手で保持して外します。

装着は、交換の場合はチェーンが付いていないので、アジャストボルトがエンドの爪に当たらないように気を付けて装着すればいいだけですが、チェーンが付いている場合は外した時と同じく本体のスプリングを伸ばした状態で取り付けます。こうしないとアジャストボルトがぶつかって装着できません。無理やり強行したらエンドを傷付けてしまいます。

RDがぐらつかないようしっかり保持しつつ、くれぐれもネジ山をなめないよう慎重に慎重にレンチを回していきます。最初の引っ掛かりが一番大事。本体のスプリングを伸ばして保持している状態は裏から見るとこんな感じ。

とりあえず、RDを装着する際に気を付けるべき点は1点のみ。エンドのネジ山に固定ボルトのネジ山が掛かるとき。ここに全神経を集中させて、無事エンドに固定ボルトがスムーズに入っていくならあとはただレンチで締めていくだけ。これでRDの装着は完了です。

作業はいたって簡単ですが、前述のリンク記事にもあったようにネジ山を舐めてしまわないよう、取り返しのつかない結果を招きかねない作業でもありますからくれぐれも慎重に。使う六角レンチはボールポイントではなく、ぐらつかずしっかり固定ボルトを保持できる、先端が丸く加工されていないレンチのほうがよいですね。

なお、もしも途中で抵抗を感じる場合はすぐにやめて、もう一度やり直してください。そうしないと最悪ネジ山が潰れてそのフレームは使用できなくなります。ご注意ください。心配な場合はプロショップへ。

それと、交換の際は必ずグリスをお忘れなく。中古RDを装着する場合も、グリスが付いていたらしっかり拭いて、ネジ山をきれいにしてから新しいグリスを塗布して装着してください。外す時に削れたアルミのカスとか付着しているとネジ山を痛める原因となります。フレーム以外でもアルミ部品のネジ山は皆同じですね。

リアディレイラー不具合の顛末記『完結編』

リアディレイラーの変速不良となっていたイレギュラーな部品

その後、結局、このディレイラーはローギアでギア詰まりが解消せず、右のディレイラーに交換することになりました。

テンションのアジャストボルトを装着し直したあとも、まだロー側で異音が残っているのが気になっていましたが、アジャストボルトを締め込んでいっても一向にプーリーとギアとの間隔が広がらず、異音をなくすことができなかったのです。

なぜボルトを動かしてもプーリーの位置が上下しないのかがわからず、前オーナーの方が別のボルトに交換した経緯もわからず、アジャストボルトを純正品に換えても解決するかやってみなければそれもわからず、すべてがわからず仕舞い。安全策を取って別のRDに交換しました。

別のディレイラーに交換後、ずいぶん遠回りしたけどようやく変速機能が正常に戻ってホッとひと安心の店長でした。

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