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ロードバイクのセルフメンテナンスで気をつけておきたいこと

2020年03月29日

バイクメンテナンス

ロードバイクのセルフメンテナンスで気をつけておきたいこと

冬が終わり待ち焦がれたように自転車に乗る方が増えてくると、店の修理件数も一気に倍増。今日はスポーツバイクならではの修理を少しご紹介したいと思います。

修理で持ち込まれるバイクでたまに見掛けるギアクランクのトラブル。ペダルを装着するネジ穴がなめってしまって、ねじ山が完全につぶれています。

ペダルを装着する時はまずシャフトを確認します

ロードバイクのセルフメンテナンスで気をつけておきたいこと

ペダルを装着している時に、最初の引っ掛かりで気付いて戻した時に一山くらいつぶれた状態だったら、タッピングでねじ山を修正できる可能性もありますが、でもこの状態はお手上げ。クランク交換になりますね。

クランクのねじ山をつぶさないために、まず知っておきたいのは、左クランクは逆ネジで締まっていくということ。これは車種に関係なく、どの自転車でも同じ仕様。

ペダルのねじは左右とも進行方向に回るようねじ山が切ってあって、ということは左が逆ネジ、右は正ネジです。

ビンディングペダルの場合、ロードバイクの多くはLOOKピッチの3穴式クリートですから、ペダルの形状からほぼ左右を間違うことはないでしょう。SPDペダルですと、特に両面SPDの場合は、パッと見は似たような外観なので、装着の時にまず始めにシャフトを確認すると作業が早いです。

SPDの左ペダルはシャフトのスリットで見分ける

シマノペダルは、シャフトの先端を見てスリットが入っているのが左のペダル。クリートをキャッチする部分を見てすぐに左右を判別できない場合は、慣れるまでペダルを装着する時はシャフトの先端で区別するとよいですね。

15mmのレンチを使うモデルはLとRの刻印でも見分けることができますが、薄かったり汚れているとわかりにくい場合もあるからシャフトの先端で判断したほうが断然早い。

SPD-SLの左ペダルはシャフトのスリットで見分ける

もちろんSPD-SLペダルにもスリットは入っています。スリットを入れた目的が、ユーザーの利便性を考えてのことなのか、あるいは製造中のラインで組み立てミスを防ぐために入れているのか、その目的はわかりませんが便利な仕様なので活用したいですね。

ペダルの装着方法

ペダルの左右を間違えなければネジ穴をつぶすということはないでしょう。でもゼロではありません。スポーツバイクでも、廉価品の付属ペダルは注意が必要です。

ペダルを装着する場合はシャフトの状態もよく確認してください。まれにねじ山の最初の引っ掛かりの箇所が傷付いていることがあります。

もし、シャフトを手で回してスムーズに挿入できなければ、そのペダルは使わないほうがよいです。ガツッと止まった状態を工具で無理に挿入した場合、アルミのクランクは使えなくなってしまう可能性大。

手で問題なくねじ込んでいけたら、あとは工具を使って装着します。シャフトに六角レンチを使用できないペダルは15mmのレンチを使って、逆回転させながら最後はレンチを後方にもってきてチェーンステイのあたりでフィニッシュ。この場所が一番力が入って作業しやすいですね。

ペダルを逆回転中はレンチがすっぽ抜けないよう、レンチに横に捻る力を加えて抜けないように回します。すっぽ抜けてしまうと、レンチがフレームに当たって傷つけてしまう可能性もあるのでくれぐれもご注意ください。

六角レンチを使用するペダルの着脱

ロードバイクのセルフメンテナンスで気をつけておきたいこと

六角レンチでしか装着できないペダルは、品質の高いペダルなので前述のようなトラブルはないと思いますから心配ありません。ただ、難点はペダルを外すとき。

レンチの位置は、装着する時はクランクをギアの前側に持ってきて作業するのでこの時は特に問題なし。問題は外す時。この位置ではフリー式だとまず外すことはできないからクランクを下死点まで移動させて作業するわけですが、クランクの裏側のためにレンチを動かす範囲が狭く、とても作業がしづらい。

固いペダルは相当難儀します。チタンシャフトは特に大変。噛りや焼き付き防止の専用グリスを使っていない場合は通常の作業では難しいかもしれません。

なので、六角レンチだけでは無理だと思ったら、ホームセンターでステンレスの丸パイプをご用意ください。備えあれば憂いなし。店長も1本持っています。正確には2本束ねて補強して使っております。

固いペダルを外す秘策

ロードバイクのセルフメンテナンスで気をつけておきたいこと

この丸パイプが六角レンチの延長パイプになって高いトルクを生み出し、これで固かったペダルもほとんどが取り外すことができると思います。1本あると他にも使えるので何かと便利です。

作業のコツは、装着した時と同じ位置にレンチを持ってきて、ペダルに足を掛けてテコの原理で外します。

とっておきの、もうひとつの方法もご紹介。こちらはパイプを使わずレンチだけで外せる方法です。ただし柄の長い六角レンチ限定ですが、20cmくらいはあったほうがよいでしょう。

まずチェーンをギアから外します。クランクが空転状態で、レンチを地面にゆっくり下ろしてそのままペダルを踏み込むと通常は緩みます。ただ、チェーンは油で汚れているし、外すのも面倒くさいという場合はパイプ使用のほうが簡単です。

ちなみに六角レンチだけで外す場合は、地面でも室内の床でも雑誌とか厚めの紙をレンチの下に敷いて作業してください。タオルなど柔らかい生地だと床が傷つくと思います。アスファルトの地面に直接だと工具のほうが心配です。

それと、踏み込む時はそのままダイレクトに力を加えてください。一旦足を離してからもう一度力を入れた場合は反動でレンチが外れてなめてしまう可能性もあります。ご注意ください。

もしこの2つの方法で外せなければ、その場合は固着しているからご自分でペダルを交換するのは難しいでしょう。あとはBBからギアクランクを外して試してみて外れるかどうか…。

パーツの固着を防ぐために

ペダルの固着については、これまで店長も一度だけ外せなかった経験があります。トライアスロンに使用されていたバイクでした。ギアクランクを取り外して作業しても駄目だった。クイル式のハンドルステムやシートポストと同じように、アルミが腐食して固着してしまったか、トライアスロンバイクだったので海水で錆び付いたのでしょう。

重いハンマーを使って、部品と工具が壊れる覚悟で、工具をハンマーで叩けば外れたかもしれないけど、さすがにそこまではしたくない。

パーツを装着させる場合、ねじ山にグリスは必須ですが、もしかして、一般車のペダルでよく見掛けるようにこのバイクもグリスを付けていなかったのかもしれません。

セルフメンテナンスで部品を交換する時は、鉄やアルミのパーツならすべてのネジにグリスを塗布することをどうぞお忘れなく(カートリッジ式ブレーキシューなど一部除く)。ネジに緩み止めのシール剤が塗布されているパーツにも、もちろんグリスは必要です。

シール剤のネジにグリスを使用する場合のメーカーの見解と実際の作業での必要性について

[3.31追記]
ネジにはサビ付き防止も兼ねてグリスを塗っておく必要があると思っていますが、シマノではシール剤が塗布されている箇所には推奨しないということです。

ただし、シール剤が仇となって装着に問題が発生するケースもあります。昨年、一台のオーダーバイクを組んだ際に、S社のスレッドBBを装着する時に異常に固くて困ったことがありました。高精度のシールドベアリングと評判のよいBBでしたが、これだけ固いのは以前組んだNINERのフレーム以来2度目。

それで、少しづつ締めたり緩めたりを繰り返しながら締めていったものの、それでも固すぎるので、これ以上やったらネジ山をつぶすと思って、結局、シール剤を剥がすしか方法がなかったので剥がしましたがこれがまた大変な作業。

軽量なアルミのワンだったから剥がす作業はすごく時間が掛かり、アルミにくっ付いて全部きれいに落とすこともできなかったし、装着部品の中で一番力の掛かる部分だから当然グリスを使いました。BBは特に雨天走行が多いとスチールフレームの場合は錆び付いて固着してしまう可能性もあるからグリスは必須。

それと、固着でよく見掛けるのが街乗りクロスやATBのVブレーキが固着しているケース。ここの固定ボルトにもシール剤が使われていますが、完成車ではグリスが塗られていないので、雨ざらしのバイクはボルトが錆びて固着してしまい、Vブレーキを交換する時に難儀することもたびたびです。

緩み止めのために塗布されているシール剤のボルトですが、部品によってケースバイケースで対応したほうがよいのかなと思います。もしご自分で作業される場合は自己判断でお願いします。

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