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買取りしたバイクに生じていたカーボンコラムの亀裂

2021年07月18日

自転車修理

買取りしたバイクに生じていたカーボンコラムの亀裂

先週の下取りで発見したロードバイクのアクシデント。カーボンコラムの亀裂です。レース参加など激しい使い方をする場合は今後の使用に悪影響を及ぼしかねません。発見できててよかった。

カーボン製品を取り扱う時に、一番気をつけなければならないのは固定ボルトの締め過ぎですが、フォークコラムに亀裂が入っていた今回のケースはちょっと違います。

今回はハンドルやシートポストで多く見られる単純な締め過ぎではなく、ステムをセットする時の装着の仕方に問題がありました。

運良く発見することができたフォークコラムの亀裂

外からは見えないフォークコラム先端に、なぜ亀裂を発見できたのか。もちろんトップキャップを外さなければ、その亀裂を知る術はありません。トップキャップを外したのはステムを交換したから。

では、中古バイクとはいえ完成車の販売なのに、なぜ、ステムを交換しなければならなかったのか?

今回は、お買い上げバイクと下取りバイクの、バイクのサイズ(トップホリゾンタルサイズ)とステム長を合わせた寸法がまったく同じで、乗車時は違和感がないのではないかと思ってました。

でも、ローラー台にセットしてポジション合わせをしている時に、あきらかにハンドルが遠い状態に見受けられます。お客様も普段はハンドルのショルダー付近を持って乗っているとのこと。これはフレームサイズが合っていないためですね。

お客様は身長168cm。下取りバイクはトップチューブがホリゾンタル537mmで、ステム長が90mm。確かに、よほど手が長くない方でなければこれではハンドルが遠く感じるはずです。お買い上げバイクはトップチューブが527mm、ステム長100mmで合算した寸法はピッタリ同じ。ポジション合わせの時に、これはステムを10mm短い元のステムに換えたら大丈夫だろうと交換したわけです。

案の定、ポジションは改善しました。と、同時に、コラムの亀裂を発見してびっくり仰天。でも、ある意味、救われました。知らずにこのまま販売していたら、亀裂がどんどん進むとハンドリングへの影響も考えられるから。

カーボンコラムに亀裂が入った原因

買取りしたバイクに生じていたカーボンコラムの亀裂

では、なぜこのカーボンコラムに亀裂が入ったのでしょうか。通常どおりのセッティングであれば亀裂が入るなどまず考えられません。ステムはハンドルとフレームをつなぐ重要部品ですが、カーボン製品の場合、ハンドル側は締め過ぎに注意しないといけないけれども、フォークコラムのほうは締め過ぎて亀裂が入るのはまれでしょう。

これまでも、カーボンハンドルでクランプにクラックが入っているケースは何度かありましたが、コラムのクラックは通常どおりのセッティングでは見たことがありません。

ポジション合わせの時に、ステムを交換する前に写真を撮っておけばよかった。その時の元のステムがどのように装着されていたか、写真を見れば説明の必要もなく一目瞭然。お客さんにはこんな状態ですと説明はしていたけど作業中だったから写真までは気が回らなかった。

あるショップで購入したというこのバイクには、ステム上のトップキャップの下にスペーサーが装着されておらず、アルミコラムと同じ方法で取り付けられていました。

本来は上の写真のように、カーボンコラムには、コラムの先端にクラックが入らないようステムの上にスペーサーを装着しなければいけません。このように装着すれば適正トルクだったら亀裂は入りません。亀裂が入ったのは、コラムをカットする時にアルミコラムと同じ寸法でカットしたから。

埋め込むアンカーの構造によって変わるカーボンコラムへのステム装着方法

買取りしたバイクに生じていたカーボンコラムの亀裂

カーボンコラムにクラックが入った箇所は上端から実測15mmまで。装着されていたステムも、写真のものと同じ形状で上端から上側の固定ボルトを締め付ける箇所まで約15mm。この形状のステムをアルミコラムのようにスペーサーも入れずに装着していたため、そこで応力が集中してクラックが入ったようす。

しかも、アンカープラグは、トップ写真に写っているとおり装着位置を自由に移動できるタイプ。アンカーのトップキャップは底の形状が出っ張っている凸型でプラグに当たらないよう深めに装着されていたこともあって、コラムの先端部分がさらに強度が低くなっていたのだろう。悪い条件が重なったのだと思う。そして、ステムの固定ボルト2ヶ所の形状も関係あると思う。

コラム先端からアルミのアンカープラグを挿入して強度を持たせている場合は一応この方法でもよいが、万一ステムを上げる時のことも考えて、やっぱり通常どおり、アヘッドステムにはトップキャップの下に10mmのスペーサーを1個装着したい。

ちなみに、ステムの上下固定ボルトの間がカットされていないステムは、仮に締め過ぎても構造的にクラックが入りにくいメリットがあるかもしれない。個人的にはコラムが外から見えないこういう作りのほうがステム自体の強度も高いように思います。

サーヴェロのように、カーボンコラムでもスリーブを入れてエポキシで固定しているケースもありますね。ステムを装着する時の固定方法は、プラグではなく、カーボンコラムでもスターナットの埋め込みです。

サーヴェロがこの方法を取り始めたのはずいぶん前ですが、経緯は知りませんがすべてのカーボンコラムに導入しようとリコール情報を出し、お客様がお持ちになったら対応してくださいと、作業料金も明示して案内していました。カーボンコラムにクラックが入った場合に事の重大さを考慮してリコールを出したものと思われます。

アティックでも1件お持ち込みがあって、送られてきたエポキシで対応したことがありましたが、お客様にとってもこのリコールはすごく安心できますね。でも、スリーブの材質や固さがわからないため、もしもハンドルを下げる時にコラムをカットしたいとご要望される際には一抹の不安もあったりします。スターナットはさらに打ち込めばよいけど、カーボンが接着されたスリーブがきれいに切れるかなあ、と。

サーヴェロはここ数年は取扱いがなく、5年前も同じ方法だったのでその後もたぶん変わっていないと思いますが、うちで注文したフレームも含めてサーヴェロのコラムカットはまだ1件も経験ありません。この方式を取っているサーヴェロだけは、ハンドルの高さ調整でコラムをカットしてほしいとお持ち込み頂いても、カット後どうなるかわからないのでお受けするのは難しいかも・・。

今回は、15mmのクラック個所はカットして、5mmスペーサー3個を外しただけでフォークはそのまま使用できるので事なきを得ました。ハンドル位置はこれまでよりも15mm低くなるので、もしもお買い上げの方がこの位置で低く感じる場合、そこはライズ角の違うステムに交換したり、場合によっては天返しにするなどして対応する予定。

もう1件のひび割れケース

買取りしたバイクに生じていたカーボンコラムの亀裂

はあ~~、2度あることは3度ある。やっぱり格言は正しかった。

1度目はこちらのデローザ出張買取り事故。2度目は先日のホイール買取りで。ショッピングページに掲載中の26インチカーボンバイクと一緒に買取りしたホイールでしたが、だいたいブログに明かすトラブルは買取り後に気付くケースが多いです。

この時もクラックを見た時は愕然としました。それはそうでしょう。間違ってもこのままでは使い物になりません。なんで査定でこんなでっかい割れを見逃したんでしょうね。反省しきり。

ホイールの買取りでは必ず振れを確認してますが、このホイールはけっこう横振れが出てました。まあ調整範囲内だろうと単純に考えていたのがそもそも失敗の元。

先日も言ったばかりだけども、同じ轍は踏まないように、査定にはしっかりじっくり具に確認してあたるようにしよう。

ちなみに、先週末に行ってきた出張2件の内1件も横振れがひどくて、そのホイールはスポーク2本に歪みがありました。走行中に何かが引っ掛かったのでしょう。ママチャリの修理でよく見掛けます。落車でもしていない限り、通常よりも振れ幅が大きいという時は、その振れには振れが生じてしまった何らかの要因があるわけですね。

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