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ホイールと駆動系にトラブルを抱えていたバイク

2025年09月07日

自転車修理

ホイールと駆動系にトラブルを抱えていたバイク

出張買取りした時に、トラブルに見舞われていた1台のバイク。ホイールの回転不良と、他にもリアディレイラーにシフト不良を起こしていました。数年間乗らずに保管していた中で、オーナーさんも全く気付かなかった今回のバイクトラブル。どのような内容だったか、その事象をご紹介します。

その後、そのバイクは修理を終えてすでに販売されていますが誰にでも簡単に起こりえるトラブルなので、同じ事象に遭遇したら、慌ててショップに持ち込む前にこの記事を参考に一度確認してみてください。

もちろん、最初から自分では手に負えないなと感じたり、不安な場合はどうぞ気軽にショップへご相談ください。

ロードバイクで一番大事な足周りに起きていたトラブルを解消

まずホイールのトラブルについて。回転不良を起こしていたこのホイールは、原因が二つあって、一つはフリーボディの固着。

ペダルを回している最中に途中で漕ぐのを止めると、通常はフリーボディのラチェット機能が働き、そのままホイールが空回りの状態で回り続けます。でも、今回はペダルを止めると同時にホイールの回転も止まり、止まった瞬間、ギアクランクがキックバックに似たような動作になってしまう。これはいかん。

たまにモーターバイクに使う粘度の高いオイルを塗布しているバイクも、チェーンの動きに支障をきたして同様の症状が出ますが、今回のバイクは走行距離が227km、チェーンの状態は問題なし。

原因はフリーボディにありました。ラチェットの爪が固着していた。この固着を解消後、直ったかなと思ったホイールの回転は、どうもまだ今一つしっくりこない。手で回していたペダルを止めると、ホイールの回転はブレーキが掛かっているような感じ。しばらくすると止まってしまう。なぜ?

スプロケットに装着されているプロテクターの弊害

ホイールと駆動系にトラブルを抱えていたバイク

ギア周りを間近でじっくり見ていると、MAVICのでっかいプロテクターが歪んでいて、ローギアに接触している箇所と離れている箇所がある。どうやら、材質がビニールなのか弾力性のあるプロテクターだから、ギアに接触しているところが抵抗となってホイールの回転を重くしているようです。これが二つ目の原因。

プロテクターの干渉でローギアが引っ掛かってまだスムーズではなかったギアのラチェットも、プロテクターを外したあとは正常な動作になった。

このバイクに生じていたプロテクターの変形と、フリーボディの固着。まだそれほど乗られていないのにこうなってしまったのは、買取りの時にお話を聞いている限りでは保管場所が原因だったように思います。

メーカーが出している完成車には、特にエントリーモデルには全車に透明のやつとかプロテクターが装着されていますね。ローギアから内側にチェーンが外れた時に噛まないように付けているのだと思われますが、このプロテクターは、ディレイラーの調整がしっかりしていれば本来は不要なものです。

完成車の装着プロテクターには今回の件とはまた別の弊害があって、材質がプラスチックだと経年劣化で黄ばんできたり、もっと劣化が進むと割れてしまいます。これは見映えも悪いし、割れると異音の原因にも。

カセット式フリーボディのプロテクターは、爪でスポークやハブのフランジにパチンと嵌めておくタイプが多いですね。この爪が劣化で折れてしまうとプロテクターはグラグラするので、走行中にガタ付きが出て異音を発します、しっかり固定されていないと装着している意味がないので、気になる場合は外しましょう。

外す場合、通常はカセットギアの着脱となりますが、素材がプラスチックで劣化が進行している場合は、ホイール装着状態でもペンチなど掴む力が強い工具で引っ張ると割れて取り外せる場合もあります。割れなかったら万能ハサミで切れると思いますので、お持ちでしたらそちらでお試しください。

ただし、この方法でプロテクターを外す場合、スポークがアルマイト塗装の場合はキズが入らないようご注意を。これで外せなかったらカセットギアの着脱が必要です。

走行距離227kmのロードバイクがなぜ変速不良になっていたのか?

ホイールと駆動系にトラブルを抱えていたバイク

こちらのバイクはリアディレイラーにもトラブルを抱えていました。もちろん、アジャスターでインデックス調整しても直らなかったのでトラブルという扱いになってしまうわけですが、走行距離はまだわずかに227km。以前も同様の状況で対応したこちらの変速トラブルを起こしていたバイクのような多岐にわたる原因は考えづらいため、最初からワイヤーに起因したトラブルだろうと踏んで、その対応をしたところ・・・。

やはりワイヤーが関係していた。ブラケットのカバーを捲ったら一目瞭然、変速不良の原因はアウターキャップの未装着。アウターケーシングにキャップが付いていないバイクは初めてです。チェレステカラーのこのメーカーとは、新車を扱っていた頃もディーラー契約したことがないため箱詰めでの状態で確認することはできませんが、ワイヤーはショップが装着するのだと聞いています。組む時に付け忘れたのでしょう。

アウターの状態を見ると、経年劣化でビニールの被膜が縮み、先端の鋼線がむき出しになっている。これではどんなに頑張って調整しても変速不良は直らない。しかも、その鋼線がブラケット内のシフトケーブルガイドに干渉してガイドの先端が少し傷付いています。

これくらいならば、インナーケーブルをケーブルガイドにしっかり通してあげれば問題ないものの、ガイドが潰れたり破損してケーブルを通せなくなってしまうとちょっとやっかいです。このケーブルガイドはメーカー在庫があるうちは取り替えできますが、5700は生産が終了しているため無くなったらレバー自体を交換することになってしまいます。

もしもレバーを交換することになった場合、現行の10速はティアグラの4700だけなので、同じ10速でも4700は独立コンポで5700とは互換性がないため、コンポをまるごと交換する羽目に陥ります。スモールパーツでこのようにならないよう気を付けたいものです。

アウターワイヤーのビニール被膜は経年で必ず縮みます。縮んで少しくらい鋼線が出ていても、アウターキャップが付いている限りはよほどの状態でもないかぎり、それほど変速には支障が出ません。ただ、相当の年数が経過しているバイクは、こちらの記事にもあるようによほどの状態にもなり得ます。もちろん、使用年数に関わらず、ワイヤーは定期的に交換しメンテナンスをしっかり行っていれば、このようなトラブルも未然に防ぐことができますね。

その後、シフトのトラブルも、ワイヤーを交換することですべて解消しました。今回のことで、快適にバイクに乗り続けるにはあらためて普段からのメンテナンスが大事なのだと、そのように再確認した次第です。

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