店長の経験から、心拍トレーニングが体力を向上させる一番の近道だと感じます。このトレーニング講座では、これから順を追って、その具体的なトレーニング方法を説明してまいりますが、その前に、心拍トレーニングで気をつけなければならない点もありますから少しご紹介させてもらいます。
まずはじめに、あなたは何を目的にトレーニングをされるのでしょうか? レースに出るため、健康対策、あるいは走るのがただ楽しいから。楽しく走るためにトレーニングするというのが一番純粋な目的かもしれませんね。
そして、ロードバイクに乗るうえで、より速く走りたいと願うのも誰もが共通して持つ潜在意識かもしれません。トレーニングに力を入れていくことで、それを実現できるのがロードバイクの魅力です。しかし、その前に少しお話させてください。
至極あたりまえのことですが、私たちが体を動かす時には、その時々の運動レベルに応じて心臓の鼓動、いわゆる心拍数が変わります。この時、体内の筋肉細胞の中ではさまざまな変化が起こっています。その運動ごとの変化を心拍数を見ながら効率よく伸ばそうというのが心拍トレーニングです。
継続的にトレーニングを重ねていると心筋と骨格筋が発達してくるのは周知のとおり。しかし、あまりに強度が高すぎて回復に時間が掛かるようなトレーニングばかり行っていると、日常生活に様々な弊害も起こり得ます。市民レーサーにも簡単に起こりうる症例としては次のようなことが挙げられます。
例えば、ハードな無酸素運動を続けていると、肉体的ストレスで消化機能が低下することから、おなかが緩みがちになり下痢の症状が続くことがあります。軽い胃潰瘍にさえなることもあって、これは店長も経験しました。成人病検査でその痕跡があると告げられて、確かに胃痛で苦しんだ時期もあります。
他にも、きついトレーニングによる多量の疲労物質で赤血球などが傷つけられることで免疫力が下がり、風邪を引きやすくなるなど体調を崩しがちになることも珍しいことではありません。店長も原因不明の脱力感に見舞われたことが幾度かあります。十分に気をつけたいものです。
心拍計は体力アップに有効ですが、そのためのオーバートレーニングを防ぐためにも役立ちます。今日は調子が悪いなと感じたら、心拍数をチェックしながらトレーニング強度を意識的に落としましょう。
トレーニング経験がまだ浅い選手の場合は、無酸素域での強度の高いトレーニングは基礎的な体力ベースを築くためにはかえって障害ともなります。これはどういうことでしょうか?
レース活動でより上を目指すときには、強度の高いトレーニングが必ず必要になります。しかし、その前に、それに対応できるベースをしっかり作っておかなければなりません。
ベースが出来ていない体で強度の高いトレーニングを行うことは、ある意味、自虐的ともいえる無謀な行為。体にとってはとても負担の大きい状態です。体力アップというよりも、きついトレーニングを自分に課すことができたという自己満足にさえなりかねません。
そして、無理なトレーニングを続けないよう日頃から自分の体調を把握しておくとともに、段階的なステップアップ、いわゆる過負荷の法則と言われるトレーニングの仕方がとても大事です。
なぜなら、速いスピードを長時間維持できる体力レベルが高いということは、有酸素能力が高いということであり、これは体内に多くの酸素を取り込むことができ、その酸素を使ってエネルギーの老廃物である乳酸などの疲労物質を再活用できるということです。これは毛細血管に密接に関係します。
このことから、強度が高い運動は、トレーニング経験がまだ浅い人の場合、毛細血管を増やして体内に酸素を多く取り込む体質に変えていくためにはマイナスなのです。
そして、強弱を付けながら少しづつ強度を上げていくことがとても大事なことなのです。レースで勝てるような体力を身に付けたい場合は、少なくとも1年間は有酸素能力を養うベースづくりに励みましょう。毛細血管を増やすことに専念しましょう。
人間の感覚はけっこうアバウトです。レースの時など精神的なものに左右されることも少なくありません。練習の時には耐えられない強度も、レースでは何とか我慢できるということも多くの方が経験されているのではないでしょうか。
あるいは、練習前は体がきつく感じても、走ってしまえば意外と足がまわるという感覚を経験されている方も多くいらっしゃるかもしれません。
経験上、自分の感覚を磨いていくことも大事ですが、日々のコンディションを把握しておくためには、アバウトな感覚よりも、毎朝の心拍数をチェックして、客観的に心拍数で体調を判断しておくことがより大きなステップアップにつながると思います。調子の悪い時、疲労感の大きい時、こういう状態の時にやみくもにトレーニングを行っても期待するほどの効果は得られません。
毎朝チェックしている心拍数が5拍以上高い時には、トレーニングメニューで運動強度を高くして行う日であっても、迷わずに強度を下げるか、休養日にしてください。
そして、体感でも疲れているなと感じている時は、まずは体をリフレッシュさせて、体力を回復させることが次のステップアップにつながります。 もちろん、体力レベルが高い人であっても、回復期間を入れずに常にきついトレーニング内容では、本人は頑張っているつもりでも、それ以上体力を上げていくためには逆効果。体が高負荷のトレーニングを受け付けない状態になる前に、計画的なトレーニングで伸びていったほうが賢明です。
心拍計はスポーツ選手だけの特別なものではありません。もともとは医療用としてつくられたその経緯から、健康管理はもとより、体脂肪を落とすためにも最大限の効果を発揮してくれます。
そこで、病気を未然に防ぎ、余分な脂肪を燃焼させて健康的な生活を送るためにも、普段からのトレーニングが欠かせません。
せっかくトレーニングをするのだったら効率よく行いたい。誰もが思うことですね。そこで心拍計の登場です。
心拍数は、体を動かすことにより、心臓に掛かる負荷が生体反応として数字に表れてきた結果ですから、その数字さえつかんでいれば、目標に対して最も手軽に効果を得られる最適かつ最善な方法といえます。
ただ、これは便利とばかりにすぐに結果を望まれる方には、残念ながら少し時間が必要です。ローマは一日にして成らず、実を結ぶには継続する努力も必要なのです。しかし、血中コレステロールなど、生活習慣病につながる危険因子は確実に減っていきますので、時間が経てば必ずその効果が実感できます。
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少しのつもりが長くなってしまいました。心拍計を有効に活用するためには運動能力の基礎データが必要です。心拍トレーニングを取り入れてみたい方は、心拍測定によって簡単に求められますので、まずは次に測定方法の流れをご覧ください。