当店へ初めてご来店いただくお客様へのご案内

アティックの店長ブログ

バイクメンテナンスやトラブルの解決策、修理事例など アティックの店長ブログ

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

2026年06月07日

バイクメンテナンス

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

今でも時折目にするフルクラムの「レーシング 7」。昔は一定グレード以上のエントリーモデルに多く使われていた定番のホイールですね。自社ブランドのパーツを持たない完成車によく装着されていました。

今回はホイールのメンテナンス、中でも走行性能に大きく影響を与えるハブのグリスアップについてです。

レーシング 7 自体はグリスを補給も交換もできないけれども、気になったことがあるのでまずはこのホイールに起こっていたことから。

レーシング 7に生じていたハブシャフトのゴリゴリ感

レーシング 7を買取りした時に気になった、ごく軽いゴリゴリ感。おそらく乗車状態では気が付かないと思われる、手で直接ハブシャフトを回した時だけ感じる微小なゴリ感です。

こういう場合、通常は玉当たり調整でのベアリングの締めすぎを疑います。でも、レーシング 7のハブはシールドベアリング。圧入しているだけなのにおかしいなと、どういう状況なのかシャフトを抜いて確認してみると、グリスに混じって何かがくっ付いている。

これは鋼球が割れた時の小さい鉄片のようにも見えるが、シールドだからカップ&コーンのように鋼球でレース面が削れるわけもないし、グリスが付いているのも気になるが、どうしてシールド構造なのにこんなものが付着しているんだろう?

とりあえず、グリスを拭きとってシャフトを戻してゴリゴリがなくなったからひと安心と思っていたら、これが原因ではなかった。原因はおそらくシールドのベアリングそのもの。両端のロックナットを締めたら再発したから。

廉価版のため上級モデルのように調整機能もないし、中古なのでベアリングを交換するかどうか微妙な価格帯のホイールであることと、全体的な使用感から、今回は大きな実害もないのでこのホイールはこのまま使うことにする。そのかわり、フリーボディを外したついでに、ラチェットの爪が汚れて戻りが悪かったので、トラブルを未然に防ぐためにもここも一緒にクリーニングしておく。

フリーボディの可動を左右するラチェットの動き

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

内装ギアのベルトドライブやシャフトドライブ方式を除き、自転車の多段ギアで採用しているのがチェーンで駆動するフリーホイールですが、その要がラチェット機構の爪です。写真では青いシールカバーの内側にある部分。右側の少し盛り上がっている箇所が爪にあたります。フリーホイールを単にフリーとか、フリーボディやカセットフリーとも言います。もちろん構造はすべて同じ。呼び名が違うだけ。紛らわしいので今回は店長がいつも使うフリーボディと呼びます。

フリーボディにはこの爪があるからハブ側のギザギザと噛みあうことで自転車に乗れるわけですが、もしも乗車中に、出たり引っ込んだりするこの爪が戻らなくなってしまった場合はどうなるでしょう。もちろん、ペダルを漕いでもスカスカ状態。乗ることが出来なくなりますね。持込み相談の普通車でたまに目にします。

爪が戻らなくなる原因は、グリスの劣化やラチェットに入り込んで固化した油汚れ、中には食用油が使われ駆動系全体がギトギトになっていたケースもありました。これにはビックリ。普通車に多く見かける呉556を使っている自転車も要注意。

ちなみに、556は自転車には絶対に使ってはいけません。粒子が細かく石油系の溶剤を添加させているため自転車が汚れやすく、使い続けると自転車がそのうち真っ黒に。556は潤滑剤が乾いてくるとべったり付着した汚れも落ちにくくなり、汚くなった自転車は駆動系にも悪影響が出てしまいます。

556は万能潤滑剤のように思われがちだけど、可動する箇所にも継続して使うのは逆効果。自転車ではディレイラーに噴霧し続けるとパンタグラフの動きに影響が出るしとても使えない潤滑剤ですが、自転車以外でも精度が求められる箇所は避けたほうが無難。床屋さんでは鋏が切れなくなるといいます。あの独特なにおいも嫌ですが。

劣化したグリスによる駆動系への影響

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

今回のホイールは、フリーボディ自体の動きはそれほど悪くなくこのままの状態でも問題なく使えるとは思ったものの、ゴリ感の原因を探すために外したついでにラチェットの動きも確認しました。若干汚れてはいるけど見た目はそれほどひどくはありません。

普通車でラチェットが動かなくなる原因で一番多いのはグリスが劣化して硬くなるためでしょうか。ラチェットに塗布されるグリスは製品のグレードによって様々ですが高粘度の硬い安価なグリスは劣化に伴いさらに硬くなっていきます。屋外保管の自転車はなおさら。フリーボディはほぼ100%ノーメンテの普通車などは、こうして爪が動かなくなってしまうんですね。

爪に塗布しているグリスは薄く塗っている状態ですが、使用環境によってもこのように次第に動きが渋くなっていきます。レーシング 7も中を見てみると半分ほど戻らなくなっていたので、どんどん汚れが進めばそのうちスカスカになっていたかもしれない。スポーツバイクでも、オイルを注しすぎてフリーギアが真っ黒になっているバイクは気をつけたほうがよいでしょう。

油がギアにこびり付いてその油が拭いても落ちないほど汚れているバイクは要注意。回転音が以前に比べて小さくなった時はフリーボディを外してクリーニングしたほうがよいかもしれません。

写真はフリーボディを掃除したあとに分解しているのできれいになったのがわかりにくいけど、ボディを再装着して、これでこのホイールは作業完了です。ラチェット音も正常に戻りました。

ZIPPのゴリゴリホイールをメンテナンス

他にもゴリ感が気になるホイールがあったので、今回はまとめてやってしまおうと、次にデュラエースハブのホイールをグリスアップしました。こちらはもっと強いゴリゴリ感ですが、デュラクラスの精度の高いカップ&コーン式ハブは、カップ(ハブのワン側)やコーン(玉押し)の虫食い、もしくは鋼球の削れでもない限りは調整で直りますから安心して作業できます。

グリスアップの作業では店長はこのように丸い網を用意します。見ておわかりのとおり、これはお茶を飲む時の茶漉し網。これがとても便利です。

この網を用意するまでは、クリーニングした鋼球を何度か紛失したことがありました。ウエスの上に置いてるだけの鋼球はべた付きがなくなるからコロコロと転がりやすいんですね。

装着箇所ごとに使う替えの鋼球は大体用意はしているけれども、もしも在庫してないメーカー独自の仕様ごとに装着されている鋼球は無くなったら大変。この丸い網でそういう心配も解消されました。ご自分でメンテする方にもおすすめします。

ポイントは、濡れティッシュを乾かした状態であらかじめ用意しておくこと。作業が格段に楽になります。ウエスの上に網を置いて、その中でパーツクリーナーを掛けてから鋼球をゴシゴシ拭き取れば、グリスを落としにくい鋼球もクリーニングがとても楽チン。ただし、ティッシュが乾いていない状態だとクリーニング効果は半減しますからご注意ください。

デュラエースハブでこれまで虫食いが原因でゴリゴリ状態になったことはなかったので、今回も安心はしてましたがパーツを戻して調整後はスムーズな回転が再現されて、こちらもこれで作業は無事終了です。

鋼球を交換して解決したハブのゴリゴリ感

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

もう一つのホイールは、持込みバイクでガタ付きがひどかった修理品。ボールレースをクリーニング後にグリスアップし調整してみたところ、ゴリゴリを取ろうとするとガタが出て、ガタが出なくなるように調整するとまたゴリゴリが発生。

何度行ってもこのゴリゴリハブの調整は無理だったので、鋼球を交換しての対応となりました。鋼球はリアハブでは一般的サイズの1/4インチ規格、6.35mmの鋼球が片側に9個入っています。

新しい鋼球と見比べると、色の違いがよくわかります。上側の表面が擦れて変色してしまった鋼球は、肉眼では判断が付かなくても全体が変形している状態。真円の新品に換えたことでガタ付きは無事解消されました。

完成車装着ホイールは定期メンテナンスが必須

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

ハブのガタ付きは、ハブ自体を分解してみないと何が原因しているのかはっきりした原因を掴むのが難しく、もし鋼球が原因となっている場合は鋼球自体を交換しない限り解決しません。

完成車に装着されていた別のホイールでは、目視でもわかるほど鋼球が相当のダメージを受けていました。ノーメンテで使用していると最終的には鋼球が傷ついて抉れてきます。痛んだ鋼球をアップで見ると、その抉れ具合がよくわかりますが、こうなる前にメンテナンスがいかに重要か痛感せざるを得ません。

鋼球の変形や抉れている場合、交換しない限り解決はしないけれども、鋼球は問題なく玉押し側が原因となっている場合は、削れている箇所がこのように一周同じ箇所で削れ具合がそれほどひどくなければ調整で直せるケースもあります。お勧めはしないけど、とりあえずは走行に支障がない程度に乗れればいいという場合は対応できます。

ただし、鋼球の当たり面があちらこちら不規則に削れてガタツキが大きくなっている玉押しは調整不可。先ほどの完成車ホイールは、最初に外した反ドライブ側の玉押しはこのように抉れがひどく、ドライブ側も相当痛んでいます。この状態では正常に乗ることは難しく、玉押しの交換となります。

見出し写真のように汎用品規格のホイールで部品交換ができればよいけど、メーカー専用品の場合はホイールごとのスモールパーツを取り寄せての修理となります。取引のないメーカーのパーツは扱うことができず、取引があっても旧式モデルのホイールは在庫終了で対応できないこともありますから、ホイールは早め早めにメンテナンスしておいたほうがよいですね。

ギアのゴロゴロ音を引き起こしていた原因とは

シャフトにゴリゴリ感があったホイールのメンテナンス

先ほどの持込みバイクは、ハブがゴリゴリしているだけでなく、ギアのゴロゴロする音も気になっていました。なぜかトップ側3枚だけで発生していてとても気になるゴロゴロ音。原因はチェーンの伸びにありました。

チェーンを新品に交換し異音は解消しましたが、伸びたチェーンを換えずに使い続けると、音だけでは収まらずギアの摩耗につながり別の問題を引き起こします。あまり経験したくはない歯飛びが起きてしまう現象です。

初めて聞く方もいるでしょう。歯飛びとは、ペダルを踏み込む時に、チェーンが伸びるとギアとの噛み合いが弱くなることで次のギアに移動する、つまりは文字通りチェーンが次の歯先へと飛んでしまう現象。

こちらの記事でも紹介しているように、歯飛びが起こるとチェーンだけではなく、ギアの交換が必要になる場合も出てきます。(リンク記事ではそれが発端でありえないトラブルが発生してしまった)

知っている人は当然のように定期的にチェーンを交換されます。でも、あまりメンテナンスをされない方はご存じないかもしれません。交換の目安は5,000km。廉価モデルのコンポはもっと早めに交換してもよいと思いますが、新しいチェーンに換えるタイミングは専用チェッカーを使うと判断しやすいですね。測定後、伸び率が0.75%に達していたら、そのチェーンは交換時期を迎えています。

測定ツールがなかったらチェーンとギアの隙間を見ても判断できますが、フロントギアのところでチェーンを引っ張ってみて、ギアの歯先が3分の2以上見える場合は交換しましょう。もしも歯先がすべて見えたなら即交換、すでに1%以上摩耗しています。写真のバイクはチェーンとギアの隙間はだいたい3分の1で、このくらいですと0.5%くらいの伸び率です。

チェーンオイルの注しすぎや、チェーンをノーメンテナンスで乗っている場合はチェーンの摩耗も早くなると思います。異音が発生したらすぐに交換したほうが無難です。定期的なチェーン交換が快適に乗り続けるコツ。チェーン交換は二次的なメリットもあって、新車の頃の、気持ちの良い走行感が再現されること間違いなし!

ROAD BIKE SHOP AtticのSNS

ROAD BIKE SHOP アティック

アティックは、ロードバイクを楽しむコミュニティショップ

https://www.attic-bike.com/

この記事を、いいね!と思ったらシェアして下さると嬉しいです。