自転車修理
カセットフリーの回転不良とシフト不良が生じていたロードバイク
アティックには様々な修理が持ち込まれてその都度対応していますが、今回は買取りバイクで発生していたトラブルの修理事例をご紹介します。
バイクの保管環境によっては誰にでも起こり得るトラブルなので、もしも同じ状況に出くわした時に少しでも参考にして頂けたら嬉しく思います。そしてトラブル防止にもお役立て頂ければ幸いです。
カセットボディのフリー機能に異常をきたしていたバイク

後輪が浮いている状態で、ペダルの回転を途中で止めるとどうなるでしょう。通常は何事もなく、フリーボディの回転が止まり空回りとなるのでただラチェット音が響くだけですね。今回のバイクはフリーの回転が止まらず車輪と一緒に回り続けようとしていました。
これはカセットボディのフリー機能が働かない状態。手でギアを空転させようと力を加えても、まるで固定ギアのようにガキっと止まって動かない。長期間外に出しっぱなしにしていたようで、ボディ内のラチェットが固着して爪が戻らなくなっているんですね。
こうなると走行中は固定ギアのように踏みっぱなしとなり足を止めることが出来なくなってしまいます。ロードバイクが多段式ピストバイクの状態に。
それでは困るので、とりあえず洗車してきれいにしてからラスペネを注して潤滑剤が浸透したあとに力技で直しました。潤滑剤を使わないと、あとあと再現してしまう可能性もあるからこういう場合は必須です。あとは定期的に使い続ければ問題なし。使わない時は乗らなくてもペダルだけ回して空回りさせておけば大丈夫。

これほどひどくはないけど、似たような現象で、自転車のチェーンにオートバイ用の高粘度オイルを使った場合も、チェーンがギアと一緒に回り続ける状況が発生する場合があります。上の写真を見ると、オートバイ用のオイルを塗布したチェーンのローラーは、あきらかに自転車用のオイルを注した状態とは違いますね。
オートバイ用のオイルで固くなったチェーンは滑らかさが失われ、自転車ではとてもまともには使えません。

カセットフリーの動きに異常が起きている時に、どちらが原因となっているか、見分ける方法は簡単です。ホイールを地面に着けている状態でペダルを逆回転させてフリーギアのラチェットがごくスムーズに動くかどうか、これですぐに判断できます。ラチェットがスムーズなら原因は使用しているチェーンオイルが疑わしい。
同様の現象はこれまでも数件あって、走行距離74kmでほとんど乗っていないバイクでも生じていました。このバイクは長期保管でチェーンに影響が出たのでしょう。高粘度のオイルが保管中さらに粘度が固くなり、使用していないのにこういう状態に。
どのバイクもチェーンが固くなっている状態でしたが、グリス以上に粘着性のあるネトッとしたオイルは1回指で触ると拭き取るのも大変。もしチェーンメンテナンスの時に上掲のような現象が生じているとか、走行中にペダルを止めると引っ掛かりを感じるという場合は、チェーンオイルが起因しているならこちらの洗車メンテナンスで改善するかもしれません。

オートバイ用のオイルが塗布されたチェーンはフロントギアにも付着してしまいますが、そのまま放置しておくとこの汚れは固まってしまうと除去するのが難しい場合もあります。
洗車ではチェーンとギアを必ず強力クリーナーで洗浄しますから、まだ汚れが固着していなければ歯先の間まできれいになります。自分のバイクでも同様の状況で気になるという方はご一考ください。
屋外に置いているバイクに発生しやすいトラブル

屋外保管のバイクは要注意。今回のバイクは、カセットフリーの回転不良だけに留まらず、シフトのほうにも不具合が発生していました。室外で保管している場合は、屋根付きの駐輪場でも外に出しっぱなしだと雨でいろいろ悪影響が出てしまいますね。
とりあえずこの不具合も直して正常に使えるようになったので、その修理内容を見ていきましょう。結局シフト不良だけでは収まらず、さらなる問題発見で今回もまあまあ大変だった。
まずはシフトの不具合から。

シフト不具合はフロント側で、変速はするけどインナーからアウターへの変速が重くて、変速後に「ガキッ」という感触がある状態。ディレイラーが原因だと思ってラスペネを注すも状況は変わらず。ケーブルを緩めてレバーの動きを確認するがレバーも問題なし。他に考えられる原因は、ワイヤーの腐食か、もしくはサビが原因となっているのか、インナーケーブルだけ交換して様子をみることにする。
GIANTのバイクでヘッドにケーブル挿入口があるフレームのインナー交換は初めてだったので、ダウンチューブ内を入口からBBまでライナーが通っているかわからないためBBのワイヤーリードを外して確認してみる。

BBのワイヤーリードを外してライナーへの圧迫を取り除いてライナーを自由に動かせるようになったことで、ケーブル挿入口からアウターを外し、ここまでライナーが通っていることが確認できた。作業的にはこれで少しは楽になる。
外したアウターからキャップを取って先端を確認したところ、アジャスター側で、被覆しているビニールが縮んで露出している鋼線が錆びていた。「ガキッ」の原因はこれかもしれない。

ワイヤーはインナーはもちろん、アウターの中も鋼線が錆びると抵抗は大きくなります。ブレーキインナーよりも0.4mmも細いシフトワイヤーはなおさら錆びの影響は大きくなりますね。
最初はインナー交換だけを想定していたものの、もしアウター内に錆びが浸透していたら、錆びている先っちょだけをカットしても、シフトの重さは改善しないかもしれない。なので、今回はアジャスターからフレーム側のほうだけアウターも一緒に交換しておくことにする。

アジャスターからレバー側のアウターにはサビは見られないのでそのまま使い、アジャスターの錆びてるほうのカップ内もサビ取りクリームでサビを取り除き、きれいにしてからケーブルを再セット。これで変速不良は解消できた。
シフトの重さもガキッという感触もすべて解決。ケーブルをセットする時にアウター内にシリコンルブリカントを注してインナーの抵抗をさらに軽くしておく。これですべて終了、と思ったが・・。
室外保管で起こる回転系のパーツトラブル

フリーギアも解決し、ディレイラーの変速もスムーズに動くようになって安心したのも束の間、今度はゴリゴリ感が現れた。あらら。原因はボトムブラケット。もちろん急に発生したわけではなく、これまで2つの不具合に気を取られていてただ気付かなかっただけです。このゴリゴリは、クランクをゆっくり回さないとわからない感触だったから。
メーカー不明のBBが付いていたので手持ちのシマノに交換。スクエアテーパーのシャフトは、メーカーによってテーパー角が変わる場合もあって、もし角度違いの場合はギアクランクの装着位置が変わることからディレイラーの可動域に影響が出てしまい、そのことが少し心配だったが今回は大丈夫だった。
装着されていたBBは手で回すとかなりの抵抗を感じる。走行中の高回転状態でゴリゴリした感覚を感じるかはわからないけれども、快適に乗るためにもこういう場合は交換がベストでしょう。
