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ハンドルまわりの調整方法

ロードバイクのメンテナンス講座 ハンドルまわりの調整方法

ハンドルまわりの調整方法

ハンドルに装着するSTIレバーは、ブレーキ系統とシフト操作のトランスミッションにも関係してきますので、作業は併行しながら行うことになります。組みながらポジションを合わせていく場合は、ここでサドルを取り付けて、乗車しながらライディングポジションを決めてもいいですね。

1. まずはじめにハンドルとステムを取り付けます

ハンドルとステムを取り付け後、まずヘッドのガタつきがなくなるまで、写真のようにトップキャップの調整ボルトを締めていきます。このアンカーボルトはヘッドのガタを調整するためだけの機能です。締め過ぎるとハンドルが重くなるのはもちろんのこと、ヘッドセット自体に悪影響が出ますので締め過ぎには気をつけましょう。

ハンドルポジションがすでに決まっている場合はここでハンドルを完全に固定します。それぞれのボルトを均一に締めていきますが、4箇所締めの場合はXの字を書くように順番に締めながらクランプキャップとの間隔が均等になるように締めましょう。あとでポジション出しをする場合は仮止め状態のままにしておきます。

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    カーボンコラムのフォークにはプレッシャープラグを使用します。アルミのステアリングコラムであればスターファングルナットを打ち込むアンカーセットでも構いません。こちらは調整が簡単です。ただし、スターナットをカーボンコラムに使うと割れる危険性が高いため、カーボンでは絶対に使ってはいけません。カーボンコラムに使用できるのはアンカープラグのみです。

  • ポイント その2

    プレッシャープラグは通常二つの機能で構成されています。一つはアンカーとしてプラグ自体をステアリングコラム内で動かないようにすること。もう一つは元々の目的であるヘッドのガタを取ることですが、装着の際にプラグの取扱いには十分注意してください。
    特に、ボルトを介さずトップキャップで直接締め込んでいくタイプなど、脱落防止機能のないプラグはコラム内で固定が不十分なままキャップを緩めすぎるとプラグが下に落っこちてしまう場合があります。こうなると、フォーククラウンに穴が開いていないカーボンコラムの場合は取り出すのに少しやっかいなことにもなりかねません。装着前からプラグとキャップが締まりすぎている場合はガタを取り切れないケースもあると思いますが緩めすぎも禁物です。

  • ポイント その3

    もしコラム内でプラグが回ってしまう場合は、一旦引き抜いて少し引っ掛かる程度に調整してから挿入します。また、コラムがカーボンの場合は離型剤の影響でプラグが固定しづらい時もあるかと思います。その場合はパーツクリーナーでコラム内を拭き取ってからセットしてみて下さい。

2. ステムを仮止めします

STIレバーを取り付ける前に、ハンドルを真っすぐにし、ステムを動かない程度に仮止めしておきます。

※ここではすでにフォークコラムをカットして、フロントブレーキも装着しヘッドセットの調整を終えた状態でご説明していますが、Newフレームをコラムカットしてご自分で組まれる方はくれぐれもご注意ください。コラムをカットする際に長さを間違うとフォークが使用できなくなる恐れがあります。不安な方は最初から全部組み立てはショップに任せたほうが無難です。

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3. STIレバー取り付け後にブレーキワイヤーを装着します

ハンドルにSTIレバーを取り付けます。レバーのグリップポジションを乗車しながら決める場合は、ここではSTIレバーはまだ完全には固定しません。ポジション決めのためにはチェーンを取り付けますので、チェーンの長さ合わせのためにフロントディレイラーをアウターギアに移動させる必要があることからシフトワイヤーも一緒に装着します。

乗車せず標準的ポジションでブレーキレバーの位置を決める場合はここで完全にレバーを固定します。その場合はシフトワイヤーよりもブレーキワイヤーのほうを最初にセットしましょう。(シフト調整の際に必ずブレーキングが必要だから)レバー取り付け後にブレーキのインナーワイヤーをブラケットに挿入させる時は少しコツが要りますが、取り付け前にあらかじめ通しておいたほうが作業は早くすみます。

※シマノSTIレバーは製品によってシフトインナーが非常に通しづらいため(ST-4500など)、ハンドルに取り付ける前にインナーケーブルを最初に通しておいたほうがまだ作業はしやすいです。

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    STIレバーは好みによって若干内側に傾けてセットしたほうが握りやすい場合があります。そのほうがハンドルをガッチリと保持でき、力を加えやすいグリップポジションになると店長は思っています。(ハンドルによっても左右されますが、オーダーの方にはバーテープを巻く前はお試し頂けます。店長バイクもそのようなセッティングです。)

  • ポイント その2

    まれにSTIレバーを外側に傾けた状態でセットされているバイクを見掛けますが、このセッティングは絶対にやめましょう。ポジショニングに支障が出ますし、ハンドリングが不安定となり快適なライディングが楽しめません。

4. こういう工具があるととても便利

STIレバーの取り付けにアーレンキを使用する際に、ブラケットが傷つかないよう工具を加工して専用のものを1本用意しておくと安心です。未加工の角張ったものは注意しないと作業中にすり傷がつくことがありますので気をつけてください。

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5. レバーのグリップポジションをチェック

ハンドル角度はアンダーバーが水平かやや上向きになる位置が基本ですが、ライディングポジションにも密接に関係し個人差のある部分です。STIレバー装着後のグリップ感覚によって上下の傾き加減を調整しましょう。ハンドル角度によってはレバーの取り付け位置ももう一度見直してみて、自分のポジションに合うよういろいろなセッティングを試してみましょう。

バーテープを巻いたあとにレバーポジションを移動することは難しいですからここでしっかり決めておきます。ポジション出しを終えたらステムのクランプボルトでハンドルを完全に固定します。もちろんSTIレバーもしっかり締めて動かないかを確認します。(ダンシングの時に動いたら大変)

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    ハンドルの高さがまだ定まっていない場合は、少し高めになるようアヘッドスペーサーは余裕をもって多めに取り付けます。アティックでは、ロードがはじめての方にはスペーサーは1cmを3枚、5mmを2枚の合計4cmくらいをおすすめしていますが、体力が付いてくるとともに少しづつ前傾気味になってくると思いますので、その時はスペーサーをステムの上と下で入れ替えてハンドル高さを調節します。もっと細かいポジショニングを追求していきたい場合は2mmや3mmのスペーサーに入れ替えて調整していきます。

6. ブレーキ用アウターケーシングの長さを決める

ハンドルの角度とレバー位置が決まったのちにSTIレバーを完全に固定し、ブレーキワイヤーを最初に装着します。アウターケーシングはハンドルにビニールテープを巻いて3箇所くらいで固定します。

長さを決めてカットするアウターケーシングの先端はやすりを掛けて平坦にしておきます。この加工は、ブレーキを使い続けるうちに未加工のままでは螺旋の金属先端がつぶれてインナーケーブルに干渉してしまってブレーキングに支障が出ることがあるため、それを防ぐために行います。アウターをカットするとビニールのライナーチューブがつぶれますので千枚通しのようなもので広げます。

アウターの長さを調節して切断する際にインナーケーブルを一旦引き抜きますが、インナーを取り出しやすくするために写真のように太い輪ゴムでレバーをハンドルに括っておくととても作業がしやすいです。

※フレームやブレーキのアウター受け側から長さを測る場合は、ハンドルに沿わせてSTIレバーのワイヤー挿入口までの長さに必ず2cm分を加えてから切断して下さい。2cmはブラケット内に挿入される分です。この方法ではハンドルの曲がりの部分を一箇所だけテープで固定させておくと作業がしやすいですね

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    前後ともブレーキアーチのところでアウターが長すぎると、ブレーキキャリパーに負荷が掛かりすぎ片利き状態となりやすいため注意してください。特にフロントブレーキはアウターが長すぎる場合はブレーキレバーにカタカタと遊びが出ることがありますから、その場合は遊びがなくなる長さまでカットしてセッティングをし直します。
    リアは片利き防止の菊座ワッシャーが必須です。菊座ワッシャー(表面がギザギザになっているワッシャー)は、モデルによっては製品には付属しませんのでショップで調達しましょう。

  • ポイント その2

    アウターをハンドルに固定する際は最初はセロテープなどで一旦仮固定し、インナーケーブルのセットが終わったあとに固定し直すとよいですね。最初に完全に固定しますとインナーをセットしたあとにアウターがハンドルバーから浮いた状態になりますから注意してください。インナーが張られた状態でアウターが自然なラインになってからハンドルから離れないようしっかり完全固定します。フライトデッキを使用する場合は、あらかじめモニターのブラケットを取り付けて、コードはアウターに沿わせて一緒にテープで巻いておきます。

7. ワイヤーのなじみ出しをしておきましょう

ブレーキキャリパーを取り付け後に10回くらいレバーを握って、アウターケーシングとインナーケーブルのなじみ出しをしておきます。この操作を行わないと、乗り始めの時にブレーキタッチが変わります。レバー操作後のハンドルとのクリアランスはこれくらいが扱いやすいですが、各自の好みによって調節します。

なじみ出し後に、ハンドルに固定しているアウターワイヤーが浮いてくることがありますので、その場合はビニールテープを巻き直してしっかり再固定します。

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    レバーの握り具合に関しては、ビギナーの方はすぐにブレーキが利き始める浅いタッチを好む傾向にあると感じますが、タイトでテクニカルな下りではいつでもスピードコントロールできるよう当て利きに近い状態でレバーを保持していたほうがよいため、深いタッチに慣れてしまったほうが実用的だと思います。浅いタッチの位置でこれを長時間維持するのはちょっとつらいです。

8. ヘッドのガタつきチェックとハンドルのセンター出し

ブレーキ系統のすべての調整作業終了後にヘッドのガタを再確認します。ガタがある場合はステムの固定ボルトを緩めて再調整します。

次にハンドルのセンター出しを行います。ヘッドのガタがない場合はステムの固定ボルトをステムが軽く動くくらいに緩めてから、フレームとタイヤを一直線にして壁などにまっすぐ押しあてます。この状態でタイヤとハンドル中央を重ね合わせてハンドルのセンターを出すようにすると作業がしやすいです(写真はレンズ位置の関係で少しずれている)。ガタがないことを確認し終えたらステムを完全に固定します。

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    締め付けボルトは左右に分かれているタイプと、2本とも片側で締めるタイプの2つのモデルがありますが、どちらも固定ボルトを交互に均等に締めていくようにします。片側を締め終えてからもう一方を締めるというようなやり方は、トルクが不均等になってネジが緩む原因ともなりますので気をつけましょう。

  • ポイント その2

    アヘッドシステムのヘッドセットは構造上、初期段階ではガタが出る場合があります。また、使い続けるうちに次第にガタが発生してくる場合もあります。その状態のまま走行していますとヘッドセットを痛めてしまいます。ハードな使い方の場合、最悪のケースではヘッドチューブやカーボンコラムに亀裂が入る事態にもなりかねません。ガタの程度によっては走行中は気付かないことも多いため、定期的に確認してみましょう。ガタを感じたらすぐに調整して下さい。

9. シフトワイヤーをセットする

ブレーキ系統を終えたのちにシフトワイヤーをセットします。STIレバーのインデックスシステムが、フロントはインナー側、リアはトップ側のそれぞれ初期状態の位置にあることを確認してからインナーケーブルを通します。その際に、ブレーキキャリパーのクイックレリーズレバーを解除させクリアランスを大きくしておくと、レバーストロークが大きく取れ作業がしやすいです。

なお、レバーをむやみに空打ちすることは避けましょう。カンパは絶対にやめましょう。解除レバーが元に戻らなくなることがあります。(空打ちとはケーブルをセットしない状態で巻き取りレバーを操作すること)

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    シフトのアウターケーシングには、shimanoのロゴが入っているほうの先端部分にグリスが注入されています。アウターケーシングの長さを調節する場合はshimanoマークの反対側で切断します。インナーケーブルを通した直後はグリスまみれになりますから、あらかじめウエスなど用意してすぐふき取るようにすると作業がスムーズに進むと思います。

  • ポイント その2

    ハンドルを装着した時点でホイールが動かないようバンドで固定しておくのも作業をスムーズに進めるポイントです。ハンドルがくるっと回って角でフレームを傷つけたりする可能性もありますからその対策のためにもぜひ。

  • ポイント その3

    ワイヤーは消耗品です。定期的な交換が必要となります。使用状況にもよりますしタイミングが難しいのですが、みために何ともなくとも1年ないしは2年ごとの交換をおすすめします。特にスチール製のインナーケーブルは要注意です。アウター内で錆びていることもあります。ワイヤー類はレース中などの思わぬトラブルを避けるためにも定期的に交換しておきましょう。

10. 前側から見たシフトワイヤーの交差具合

シフトのアウターケーシングの長さは、ハンドルを左右に切ってみて引っ掛かりがなくストレスなく回る状態なら長さはお好み次第ですが、長さはこれくらいがスマートに見えます。あまり長すぎるとハンドルが重くなり、短かすぎるとコーナーなどで危険です。

※この写真では、フロントブレーキのアウターはハンドルポジションがまだ決まっていないため少し余裕を持たせています。ハンドルの高さを上げない場合はもう少し短めのほうがよいですね。

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11. バーテープを巻いて完成

通常はパーツの組み付けと調整がすべて終了後に最後にバーテープを巻いて完成させます。バーテープはハンドルの前に立って巻きます。左右どちらも、テープの端をハンドルバーの先端から半分ほど出して、バー先端の下側位置から一周させ外側に向かって巻き始めます。巻き始め位置がずれないことを確認してから、コルクテープの場合は中央の膨らみに端を重ね合わせながら斜めに巻いていくときれいに巻けます。

テープの終わりは、ハンドルバー中央のふくらみ部分に合わせて、巻いているテープのステム側を途中で斜めにカットしてから一周させて端をあわせるときれいに見えます。左右とも同じです。最後に飾りテープを巻いてキャップを取り付けて完成です。

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【ワンポイントアドバイス】

  • ポイント その1

    バーテープはメーカーごとに長さが違いますので、ハンドル幅によっては重なり部分が多すぎると途中で足りなくなることもあるため注意が必要です。はじめて使うバーテープで長さがわからない場合は、接着面のテープを剥がさない状態でテスト巻きしてみてもいいかもしれませんね。
    また、アンダーバーからドロップに掛けては下側がしっかりと重なっているか確認しながら巻くとよいと思います。重なっている端がピッタリ密着するようバーテープをきれいに巻くコツは、材質に関わらず軽く引っ張りながら巻くことです。

  • ポイント その2

    巻き始めの時に少し力を入れて巻きますと、ハンドルバーの先端から半分ほど出たテープの端が少し中に入り込むかたちになるのであとからキャップで押し込むときに作業がしやすくなります。

  • ポイント その3

    最後に飾りテープを巻く場合は、飾りテープを巻く前にセロテープでバーテープのほうを最初にとめておくと緩んでくることもありません。飾りテープは粘着力が弱いものもあるため、剥がれてこないよう先端に接着剤を塗って留めておくとよいですね。

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