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コンポーネントのイレギュラーな組み合わせで発生していたシフト不良

2025年08月11日

自転車修理

コンポーネントのイレギュラーな組み合わせで発生していたシフト不良

中古バイクのアクシデント発生。街乗り用にロードバイクを探している方に使って頂けそうだと買取りさせてもらった一台のバイク。買取査定の時に、部品のほうはあまりよろしくないがフレームは状態良さそうなので手を加えれば大丈夫そうだと判断して買取りしたわけですが、イレギュラーな装着部品に翻弄されることになってしまった。

まずはサビサビ部品の交換から作業開始

コンポーネントのイレギュラーな組み合わせで発生していたシフト不良

部品にはサビが多く見られるけれども、フレームのほうはベランダ保管ということで比較的きれいな状態です。これは部品を換えれば蘇ると思って気持ちよく買取りさせて頂きました。

スポーツバイクの場合は少しくらいならサビ取りクリームで取れるので地道に磨いたりもしますが、このバイクはそういう考えも過ぎらないほどの錆びっぷり。メッキの有り無しでだいぶ状況は変わるものの、ベランダに長期間放置されていた今回はさすがのメッキパーツも如何ともし難い状況でした。

最初はチェーンの交換から。錆び付いて固まって動かないチェーンを切って外します。ママチャリの外装変速でも時折見掛けるリンクが動かないチェーンにひと苦労しながらようやくチェーンを外し、今度はスプロケットを交換する。

カセットギアなのでピンを抜いて1枚1枚磨けば錆びは取れて使えそう。でも長時間の作業が予想されるので、価格的な折り合いからこれは手っ取り早く手持ちのカセットに交換。

次にギアクランクは色褪せて歯先も錆び付いてるからちょうど在庫があったスギノのトリプルに交換する。ボトムブラケット(以下BB)は状態がよいので軸長は不明だけれども変速に支障があった場合に交換すればよいとそのまま使うことにする。

そして、リアディレイラー(以下RD)はケージが止まるストッパーが壊れて一回転するので同じスピードのRDに交換し、フロントディレイラー(以下FD)も錆び付きがひどいから一緒に交換する。これで駆動系はBB以外すべて交換となった。(実はBBもこのあと交換することに)

フロント側に変速不良が生じていた原因とは

コンポーネントのイレギュラーな組み合わせで発生していたシフト不良

ブレーキ本体も動作には問題ないけどスプリングの錆びがひどいのでこれも交換して、これで販売にそぐわない部品は交換したのであらかた大丈夫だろうと最後のシフト調整に入ったところ、RDは問題なし、正常に変速を確認。でもFDはアウターに上がらない。いや、正確にはギアにチェーンは乗るけどSTIのインデックスがシンクロされていないので押さえているレバーを離すとアウターからセンターに戻ってしまう。

これは軸長が合わないのだろうと考え、ギアクランクのインナー側の装着位置を確認すると、装着されていたFSAよりも2mmほど外側に出ているようだ。そこで、装着BBより2mm短い113mmに変えれば一件落着するだろうと、BB交換を終えてひと安心の予定が原因は別のところにあったのです。

BBを換えても変速不良は解決しなかった。おかしい。なぜだろう? しばし頭を抱え込んだ店長です。シフト不良でこんなことは初めて。もちろんフレームの曲がりとかでチェーンラインが狂っているわけではありません。RDは何も問題なく正常に動作します。

しばらく考えた末に、まさかとは思ったがSTIレバーのブラケットカバーをめくって品番を確認してみると、なんと、そのまさかが現実に。トリプルのギアクランクにダブル用のレバーが使われている。

中古バイクをショップ以外で購入する時に気を付けたいこと

今回の買取りバイクは、査定の時に駆動系が動いていれば大幅な査定ダウンとなる状況(あるいは買取り不可)。でもサビサビの状態だったから、まさかこんな使用不能な組み合わせになっていたとは知る由もなし。今回は想定外の出来事なので仕方がないかな。買取りの際に申告がなかったから売却された方も知らなかったのかもしれない。

そういえば、今思えば一つ思い当たる節があって、ダウンチューブのアジャスターをネジ山が外れそうなほど張り調整している状態はおかしいなとは思っていたけど、FDをアウター側に移動させたあとにワイヤーの張りで無理やりその位置で固定しようとしたんだね。

これでは調整で仮にアウターにシフトできたとしても異音が出るし、ダブルレバーのこの状況ではトリプルのインナーには変速できないし、フロントギアのシフトはまともに使えなかったと思う。もしかすると、センターギアしか使っていなかったかもしれない。このバイクはどこで購入したんだろう。よもやショップで販売したバイクとは考えにくいから個人売買の中古車か、もしくはリサイクルショップの販売車。買取の時は何もお聞きしていなかったからあくまで推測でしかないですが。

中古のロードバイクは実店舗の専門ショップが扱っているバイクなら安心ですが、個人間の取引で購入する場合は十分に注意したほうがよいかと、そういうことをあらためて思い起させる今回のトラブル案件でした。

当店でもオークションで購入したというバイクの修理をお受けすることはあります。ただ、オークションではまれに修理不能のバイクもあると聞きますから、最初からジャンク品で出品されている場合を除いて、外観から状態がよくなさそうなバイクは要注意。シフトに限らず、もしコンポにグループ以外のパーツが使われている場合は確認したほうがよいでしょう。フランチャイズの買取業者が扱うバイクは埃を被ったままの状態で掃除もしないでそのまま出品しているケースも多いようです。

ともあれ、今回の一件は後学につながる稀有なトラブルではありましたが、こちらのバイクは、8速仕様のトリプルレバーは在庫がなかったから取り寄せたあとに組み直して動作を確認し、その後、ロードバイクが初めての方がご購入されて乗って頂いております。まずはトラブルが解決できてホッとひと安心の店長でした。

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