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圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

2026年02月11日

機材情報

圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

今回は、異音の問題と切っても切れない関係を持つ部品、ボトムブラケットの話題です。現在生産されている完成車で主流となっているのが圧入式のボトムブラケット。しかし、このボトムブラケット(以下BB)でひとつ問題となるのがBB周りから発生する異音、ペダルを踏むたびに聞こえてくるこの音鳴りに今も悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。

異音の解消法は交換がベストですが、同じ製品では再発する可能性もあるため、サードパーティから出ているコンバーターの使用がおすすめです。のちほどこれについてもご紹介します。

今回はBBを交換する時に注意したい規格に関する内容と、どうすれば異音を解消できるかその方法をまとめてみました。BBの規格についてはもしもご存じなければ参考にしてみてください。

群雄割拠の圧入式BB規格

圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

バイクのコンポを換装しようと思った時に、おそらくもっとも頭を悩ませるのがBBの規格ではないでしょうか。この規格、本来はフレーム側のハンガー規格になります。

圧入式が採用されるようになってから様々な規格が考案されてきました。バイクメーカー主導の規格やパーツメーカーが提唱する規格、さらに自社の独自規格で生産しているバイクメーカーもあって、混乱に拍車を掛けることになったわけですね。

バイクメーカーが主導する規格で主なところはキャノンデールのBB30や、GIANTのプレスフィットBBなど。パーツメーカー提唱は、FSAが起こしたBB386 EVO(EVOを省略したBB386も同じ規格)やローターのBBrightなど。この記事ではロード系に絞って進めていきますが他にも実に様々な規格が乱立しています。

サードパーティのコンバーターを探す時に、訳わからないという方もいるのではないかと思われますが、このような状況ですから頭を悩ませるのも無理はありません。整理していきましょう。フレームとBBとギアクランクの適合規格を照合する時に役立つ一覧をあとから紹介します。これを見ると整理しやすいと思います。

しっかり把握しておきたいBBの仕様規格

圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

フレームのハンガーはBBシェルとも言いますね。ここからはそっちのほうが呼びやすいのでBBシェルでいきます。

このBBシェルの規格は、大きく分けてネジ式(スレッド)と圧入式(スレッドレス)。ネジ式は、現在はほぼBSA(1.37×24T)とITA(M36×24T)の2種類で、もう一つフレンチ規格もありますが今はほとんど使われていないのでここでは省きます。

BSA(別名称のBSCも同規格)とITAは、フレームのシェル幅が68mmと70mmだから測ればすぐにわかります。確認作業はごく簡単。

ところが、圧入式のほうはおもに採用されている規格でも現在10種類以上あって乱立状態です。中には規格そのものよりも、ただシェル幅を変えただけの規格もあったりして、しっかり把握しておかないとトラブルにも繋がりかねません。

ちなみに、コンバーターを利用する場合に、もちろん規格違いの製品は使用することができないため、間違わないよう現在市場に出回っているおもな圧入式BBの仕様と規格を取り上げてみます。ベアリングをフレームにセットするだけのBB30も一応圧入式ということで。

圧入式BBの規格一覧

圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

まず、こちらでサードパーティのホイールマニファクチャリング社の規格一覧表を共有したいと思います。ご覧になってみてください。

そして、この一覧表よりももっとわかりやすく、以下に規格の要点だけを簡便にまとめてみました。ここに掲載している規格はロードバイクのみで、メーカーの独自規格(LOOKとかTREKとか)は省いて汎用性のある規格だけに絞っています。

■BB30
・BBシェル幅:68mm
・BBシェル内径:φ42mm
・ベアリング内径:φ30mm(外径はシェル内径と同寸42mm)
・対応クランク:シャフト径30mm

■BB30A
・BBシェル幅:73mm
・BBシェル内径:φ42mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※BB30よりもペダリング効率と剛性を高めるためシェルの反ドライブ側を5mm延長。

■PF30
・BBシェル幅:68mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※BB30と同寸のベアリングをカップに圧入してプレスフィット化した仕様。シェル内径4mmの違いはカップの厚み分。
※クランクはBB30と共用できる。

■PF30A
・BBシェル幅:73mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※PF30のシェル幅を反ドライブ側に5mm延長しただけで目的はBB30Aと同じ。

■BB86
・BBシェル幅:86.5mm
・BBシェル内径:φ41mm
・ベアリング内径:φ24mm
・対応クランク:シャフト径24mm
※シマノのプレスフィット規格といえばこれ。おそらく一番多く出回っている。
※部品にみられるPF86表記や、コンバーターのPF41も同じ仕様。

■BB386(BB386EVOとも)
・BBシェル幅:86.5mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※PF30とBB86の合体版のような規格。クランクは専用品。PF30用のクランクは、径は同じでもシャフト長が短いから使えない。
※BB386EVOは本来フレームを作らないFSAが提唱したBB386のクランク側規格。

■BBright
・BBシェル幅:79mm
・BBシェル内径:φ46mm
・ベアリング内径:φ30mm
・対応クランク:シャフト径30mm
※ベアリングは他の内径φ30mm品と同じく使い回しができる。クランクは専用品。

紛らわしい規格名称にご注意

圧入式ボトムブラケットの規格について考えてみる

上掲が現在流通されているバイクのおもな規格です。とりあえずはこの規格だけでも頭に入れておけば大丈夫なはず。いかがでしょうか。ご自分のバイクがどの規格に該当するかおわかりになりましたか?

この中で、規格としての名称がチトややこしいものが1つあって、それはBB86。この規格の仕様はシマノとGIANTが提唱して流通されているものですが、シマノではこういう名称は用いません。上ではあえて「BB86」と書きましたが、シマノ製品で圧入式の規格は1つだけ。アダプターも作ってないので名称は単に「プレスフィットBB」と言っています。もちろん同じ提唱メーカーのGIANTもこの呼び方です。

同じ規格でもBB86と言ったりPF86と言ったり、この規格名はサードパーティが作ったものでしょうか。出処はわかりませんがシマノ提唱の仕様が通称化したものなのだと推察されます。さらに、一部のパーツメーカーにはPF41というコンバーターにだけ付けていると思われる規格があったりして、ますます混乱してしまいます。

工具メーカーのパークツールでも、この規格名について、BB圧入ツールの適応規格の中でこの名称を3つとも掲載しています。こちらのツールにシマノとシマノ以外のBB規格で「Shimano Press Fit」と「BB86」、そして「PF41」とそれぞれ表記してますね。

圧入式の規格が多過ぎて混乱するのに、同じ仕様で規格名が違うだけなら混乱に拍車を掛けてしまい兼ねない困った問題。業界全体で統一できるものは統一してほしい、規格は少ないほどありがたいとユーザーはきっとそう思っているはず。

BBコンバーターを使う時に大事なフレームの仕様確認

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実際にBBを交換する際にコンバーターを利用する場合ですが、まずフレームのBBシェルがどういう仕様なのかを確認しなければなりません。圧入式BBはネジ式のように簡単ではありません。部品メーカーとバイクメーカーが入り乱れ、各人各様の見解でBB市場はまさに群雄割拠。

圧入式BBは、規格を調べるための確認工程も多いです。まず、ギアクランクを外し、クランクシャフト径を測り、圧入BBを脱着したあとにBBシェルの内径を確認して対応するベアリングの規格を調べ、さらにシェル幅も測定してとネジ式のように簡単にはいきません。

フレームやバイクメーカーによって仕様規格はある程度は決まっているものの、完成車はモデルごとに違ったり、モデルが同じでも年式によって規格が違っていることもあるため一様ではありません。装着パーツで判断できる場合もありますが、圧入BBを交換するときに一番手っ取り早いのはメーカーや代理店に確認することですね。

くれぐれも、前述リンクの一覧表のように似たような規格もあるから間違えないようご注意ください。

走行性能にも優れるトーケンコンバーター

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当店ではいつもトーケンのNinjaシリーズを使っていますが、ほぼすべての規格に対応していて、カタログの各商品には対応する規格もわかりやすく掲載されているから便利なコンバーターです。なかには1つのモデルで数規格に対応できる製品もあって重宝します。

NinjaのBBは、左右の先端に雄ネジと雌ネジが切ってあって、圧入式ながら右と左をねじ込んで一体化させることで、ワンとベアリングの平行度が高くなりクランクの回転がとてもスムーズ。ペダリングが軽くなります。

中古の買取りバイクでも、クランクの回転が重く感じるケースもありますが、これはおそらくフレームハンガーの精度が関係しているのでしょう。シールドベアリング式の圧入BBの場合、ハンガー精度が起因する回転の重さは左右独立タイプのBBではこれはある意味宿命的な問題ではないかと思われます。

Ninjaの方式はスレッドフィットBBと呼びますが、圧入式のBBではこの方式が一番よい感じがします。もしペダリングが重く感じるようになってきたら、クランクの回転を確認してみてください。その場合はチェーンを外して抵抗がない状態で、重いように感じたらBB交換で改善できる可能性が高く、試す価値はあるかもしれない。

圧入式BBで一番多く起こるトラブル「異音」の解消法

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次に、BBの異音について考察してみます。ハンガーシェルにただベアリングを圧入するだけのスレッドレスBBの場合、構造的に音鳴りが発生しやすいのかもしれませんがけっこう耳にします。特にBB30。ペダルを回すたびに発生するこの異音、とても気になりますね。分解掃除してそれでも再発するケースも多いようです。

対策はBB規格にもよりますが、ベアリングをカップに装着して圧入するBBでは手軽で簡単にできる対策方法があって、それは圧入前にグリスを塗っておくこと。

圧入式のBBでは、フレームへの圧入箇所に直接グリスを塗っておくと、音鳴りには効果が高いと思われます。ただ、取り外せる圧入カップの材質は樹脂がほとんどなので、ノーメンテで長期間ほったらかしの場合はグリスが原因で劣化する可能性もないとは言えず、シマノでは逆に塗らないようにとアナウンスしています。一方、トーケンのマニュアルにはイラスト入りでグリスを塗布するように書かれていますがメーカーによって対応が異なるようですね。

これはケースバイケース。グリスを塗るなら自己責任となりますが、ここで、もしも、グリスを塗ることでBBが緩むのではと、そのような心配をされる方がいらっしゃったらその心配は無用です。カップにグリスが付いていても、ギアクランクを回転させる踏力がハンガーに影響を与えて緩んでしまうとは到底考えられません。シャフトが回転する時にベアリングの動きでカップが緩むなんてありえないからですね。

固着防止にも役立つ圧入カップへのグリス塗布

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グリスを塗っておくことは固着防止にも役立つから一石二鳥。以前、シマノのプレスフィットBBがいくら叩いても外せないことがありました。これ以上やったら壊れると思ってその時はやめましたが。たぶん原因は汗。汗でアルミが腐食して固着したのではないかと思われます。後述するリンク先の作業でそう思いました。

それから数年後にまた同様のケースが発生したバイクがあって、その時はどうしてもその固着BBを外さなければならない理由が生じていてイレギュラーな方法でそのBBを壊して取り外しましたが、通常は行いません。その作業はあくまでもイレギュラーな方法なのでもしも失敗した場合はフレームが使えなくなる可能性もあるから。

このように、圧入式BBが固着してしまった場合は、これから先そのBBをずっと使い続けるしかなく、シマノ以外のコンポが使いたくても諦めるしかないですね。大変悲しいことです。

それ以来、店長にとって、圧入式BBにはグリスが必須となりました。使いたい部品を使うことが出来なくなるなんていう最悪なトラブルは、絶対に避けたいですからね。

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